瑞穂村が入植80周年祝う=記念式典で300人が慶祝=溌剌103歳の宮本さん表彰

 サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市の瑞穂村の入植80周年を記念し、瑞穂文化協会(藤森忠敏会長)が5月3日、同会会館で記念式典を開催し約300人が出席した。戦後、同市がブラジル自動車産業の発祥の地となった関係で周辺地区の工業化が進み、多くが転居した。今では「村」の姿はないが、90家族が会員として同文協に集っている。

 瑞穂村は35年5月7日に草分けとなる10家族が「理想郷」を目指して入植を開始し、ヤマを切り開くことから始まった。70年頃には最盛期を迎え、約100家族が養鶏等を営んでいた。
 当日はまず午前10時から文協敷地内の瑞穂山浄心寺で慰霊法要が執り行われ、約100人が参列し先没者たちを偲んだ。式典では両国歌が斉唱され、仲原アルツール記念祭実行委員長は挨拶で瑞穂村の歴史を振り返り、「入植当初から教育や文化振興に力を入れてきた瑞穂村。80周年を迎えられるのは先人達の功績だ」と述べた。
 続いて藤森会長が挨拶、功労者と85歳以上の高齢者の功績を評し、記念品が贈呈され、高齢者32人も一人ひとり手渡しで受け取った。
 特別功労賞として表彰された瑞穂村最年長の宮本信雄さん(103、山口県)は1936年にサントス港着、38年に瑞穂村に入植し、同文協会長も務めた。「入植した当初は自分も作物の栽培を試したが、湿気が多く、どれも成功には結びつかずに苦労した。養鶏を始めてからは瑞穂村全体が活気に溢れるようになった」と振り返る。村の将来については「実質的に村が存在しない中の存続は難しい。二世、三世など後進育成を急がなくては」と語った。
 高齢者表彰された一人、井上イチ子さん(92、山口県)は「苦労を重ねて80周年を迎えた。親の苦労する姿を見て、子どもも努力してくれたことが嬉しい」と語り、大学へ進学し、医師となった息子さんを誇りにしている。
 また特別功労賞として表彰される予定だった井上アイ子さん(享年97、山口県)が前日の2日に亡くなり、式典途中に黙祷が捧げられ、着席するはずだった椅子には花束が添えられた。井上さんは草分けの10家族の一つへ嫁ぎ、入植初期から村を支えた。
 来賓として在聖総領事館の佐野浩明首席領事やサンベルナルド・ド・カンポ日伯文化協会連合会松藤サトル氏、同市南ヒロユキ市議、アレックス・マネンテサンパウロ州議が出席し、祝辞を述べた。総勢15人による瑞穂和太鼓の迫力ある演奏や日本舞踊の披露も加わり、会場を盛り上げた。

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 最新の厚生省発表の調査によると海外在留邦人の100歳以上の男性は13人(内100歳が6人)いるという。瑞穂村長老の宮本信雄さんは103歳にして背筋が伸び、杖もつかずに歩く。本紙の取材にもテキパキと返答してくれた。なんと、昨年までは車の運転もこなしていたという。長寿の秘訣を聞いてみると答えは「趣味のゲートボール」だとか。日本のご長寿健康番組が取材に訪れる価値があるかも?!