元日本代表選手=三都主ラストゲームか?=サントスFC相手に奮戦=「日本に戻る可能性も」

 サンパウロ州サントス市で、サッカーブラジル杯サントスFC対マリンガFCが5月13日に行われ、元日本代表の三都主・アレサンドロがマリンガFC選手として後半12分から途中出場した。「ペレやネイマール、カズさんもプレーした伝説的なスタジアムでプレーできて嬉しかった。負けたことは悔しいが、相手はビッグクラブ、こっちはパラナ州のまだまだこれからのチーム、実力差を考えると、よくやったと思う」と三都主は試合翌日に振り返って語った。

パラナ州選手権でプレーする三都主(Eva Anori/Maringa FC)

パラナ州選手権でプレーする三都主(Eva Anori/Maringa FC)

 1月半ばに帰国し、1月末に地元マリンガFCと契約、途中出場で流れを変える攻撃の切り札として、パラナ州選手権の多くの試合に出場し、4月29日のマルセッリ戦では、自宅すぐ近くのホームスタジアムでゴールも挙げた。
 三都主が試合に出始めると共に、マリンガFCも順位を2部降格圏から4位まで上げたが、優勝決定プレーオフトーナメントの1回戦で、昨年同選手権の決勝戦でも戦った、同じパラナ州北部に本拠を置くライバルのロンドリーナに惜しくもPK戦の末に敗れた。
 契約はパラナ州選手権の終了までだったが、ブラジル杯にも勝ち残っていたため契約を延長。まさに一戦一戦が「負けたら最後になるかもしれない」との覚悟で臨んだ試合だった。三都主選手の奮闘空しく、サントスFCが後半ロスタイムにリカルド・オリベイラの挙げた得点により1対0で勝利した。
 「相手には2006年W杯ブラジル戦以来、9年ぶりの対戦になるロビーニョもいたけれど、とにかく勝つために必死だった。結果は負けだけど、サントスまで駆けつけてくれたマリンガのサポーターが試合後に名前を呼んでくれて、自分のやってきたことは間違いじゃなかったと思える。ゴールがオフサイドで取り消されなければなあ」と悔しさと充実感をのぞかせた。マリンガからサントスまでは直線距離で575キロも離れており、東京から岡山間(536キロ)より遠い。
 今後については「一度契約は終了。マリンガFCはしばらく23歳以下のチームの大会しかなく、当然それには参加しない。ひょっとしたらサントスFC戦が最後だったかもしれないが、まだオファーが来るかもしれないし」と明言を避け、「両親にユニフォーム姿を見せられたし、ゴールも決められた。サントスFCとも戦えた。最初に想像していた以上のことができて満足している」と結んだ。
 「帰ってきたばかりで家族が暮らしになじむためのサポートもしていきたいから、すぐにマリンガを離れる気はない。でも日本で監督ライセンスも途中まで受講していたから、数年後には日本で指導者になる可能性もあるかもしれない」と含みをみせた。

【大耳小耳】

 三都主選手にとって〃最後〃になったかもしれない試合、不思議な因縁で相手名もサントスFC。スタジアムは伝説のヴィラ・ベルミーロ。2006年W杯日本対ブラジル戦以来9年ぶりの再会となるロビーニョもいて、余韻に浸るには全ての条件が整っていたはず。だが三都主は試合後、無作為に選ばれるドーピング検査の対象となり、誰とも接触を許されず、何も口にする事を許されず、検査室でひたすら尿が出るまで待機しなくてはならなかった。午後9時半に終わった試合、解放されたのは日付も回った1時だったとか。プロ選手の仕事の一つとはいえ、このタイミングであたってしまうとは運がなかった? それとも「余韻に浸るのはまだ早い」との神様のお告げか!