JICA新所長に那須氏=「スポーツ分野でも貢献」

 国際協力機構(JICA)ブラジル事務所に那須隆一所長(54、京都)が5月1日に着任した。同機構勤続31年、在外勤務5回目のベテランだが、ブラジル駐在は初めてだ。現在までの海外赴任地はパナマ、ホンジュラス、エルサルバドルなどの中米にアフリカのモザンビーク。
 ODA予算全体が減額される中、かつて世界1位だったODA予算は現在5位。その中で2000年代にアフリカやアジアに特に力を入れていた関係で、中南米はその影響を受けていた。とはいえ「南米予算の5、6割はブラジル」という配分だという。
 ブラジル日系社会に対しては従来から「高齢者福祉」「日本語教育」の二本柱で支援してきたが、2020年東京五輪の関係もあり、「野球などのスポーツ分野でも積極的に世界に貢献していく方針です」という。また、ペトロブラス汚職問題により石油プラットフォームや資源輸送船舶関係に資金の大停滞が起きているが、JICAによる船舶技術者育成支援は続ける方針だという。
 さらに昨年、「安倍首相来伯時に日系社会との絆を強める方向性が示された。JICA予算自体が増える訳ではないが、ブラジル日系社会に関しては今年からJICAボランティア倍増、中学生の訪日研修(旧生徒研修)20人、7月には大学生9人訪日研修、さらに高校生向けプログラムを検討するなどの予算傾斜が図られている」などと現状を説明した。