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ブラジルは女性の天国にあらず

 5月27日にピアウイ州で少女4人が未成年者4人を含む5人組から暴行、強姦後に崖から投げ落とされるという事件が起きた。同12日には、サンパウロ市南部の州立校のトイレで12歳の少女が男子生徒3人から輪姦された▼どちらも涙した後に訳した。被害を受けた少女達の心と体に残る傷や恐怖心、家族の怒りや悲しみなどを考えると胸が潰れる思いだし、他人の痛みが分からない人や衝動的な行動に走る人がかくも多い事への怒りもこみ上げる▼こういう事件を起こす人は娘や姉妹、母親が被害に遭ったらどんな事を考えるのか。ピアウイ州市警は、容疑者達が怒り狂った人々に襲われたりして別の事件が起きるのを恐れ、5人を州都の刑務所に移した。ブラジルの刑務所では女性や子供を殺したり傷つけたりした犯罪者が私刑に遭ったり殺されたりする事もあるというが、その割には女性を狙う犯罪は後を絶たない▼無論、女性を狙う犯罪は他国でも起きる。日本軍兵士による強姦事件なども一例だ。女性を道具として男性の不満を満たす行為が許されるはずはないが、実際には力尽くや武器で脅して犯す例が後を絶たず、悪夢にうなされて一生を終わる人や自殺する人が大勢いる▼ピアウイ州では捜索を手伝った警官の息子がその凄惨さでショックを受けて入院。手術後に輸血が必要となった少女のための献血者も列をなしたが、慰み者にするために女性を歯牙にかけるのは男性至上主義の表れとする識者もいる。少女を襲った未成年者の一人の母親が「息子はまだほんの子供だ」と言ったらしいが、限度を知らず、善悪が判断できない子供を育てた恥はその親に帰ってくる。(み)

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