沖縄移民研究塾=同人誌「群星」を自費創刊=宮城さんら成果を一冊に=11日にサンパウロ市本部で合評会

 沖縄県人会移民研究塾(宮城あきら代表)が5月、同塾での研究成果をまとめた同人誌「群星(むりぶし)」を創刊した。日ポ両語の白黒180ページで、過去の出版物刊行式やボリビア移住地、沖縄民謡を納めたDVD(約2時間)も付属する。先月30日、宮城代表らが来社して説明した。一つの県の県人だけで研究会を立ち上げ、このような同人誌を自費で発刊する取り組みは極めて珍しい。

 13年4月に立ち上げた同塾は1、2カ月に一度会合を重ねてきた。宮城代表はその目的の一つとして、「沖縄移民に関して『写真で見るブラジル沖縄県人移民の歴史』など5冊の本が出ているが、明かすべき史実がまだまだあると感じる。移住者による生の証言を集めることや、移住史を掘り起こす使命がある」と説明した。
 構成は「埋もれた歴史の発見―笠戸丸移民・知念亀の足跡、喜屋武亀三親子、琉球古典音楽の大家・山内盛彬」、「移民群像―金城郁太郎の移民物語、悲劇の麻州カッペン移民」、「思い出の記―ボリビア開拓地、ビラ・カロン沖縄村」「沖縄芝居」などで、熊本大学の山城千秋准教授による寄稿「オキナワ移住地の琉球芸能伝承」も。
 著者の一人でボリビア移民だった高安宏治さん(県人会第一副会長)は「歴史を記すためにも必要な取り組み。様々な人からの自分史を寄せるなどもしたい」。
 また「琉歌 賀陽カマト作歌」の執筆やDVD制作を担当した嶺井由規さんも、「自分たちで費用を積み立てた。言葉の問題で一世の想いや経験は、二世に伝わり難い現実がある。ポ語にして思いや歴史を伝える取り組みが必要だと痛感している。両親や祖父母のルーツを子孫に知ってもらえる一冊になった」と創刊を喜んだ。
 創刊号は700部印刷し、県人会本部や関係者を通じ無料で配布している。今後は1年に一度のペースで冊子を発刊する意向だ。宮城代表は「ウチナーンチュ(沖縄県人)の心を受け継ぐための冊子となれば。新しい執筆者も求めている」と期待を込めた。
 今月11日には感想を交わすための『合評会』を、サンパウロ市リベルダーデ区の県人会本部(Rua Tomas de Lima, 72)で行なう。問い合わせは宮城代表(11・4472・4532)まで。

□関連コラム「大耳小耳」□

 沖縄県人移民研究塾が創刊した『群星』。聞き慣れない言葉だが、昴(プレアデス星団)のことを沖縄語でそう呼ぶという。広辞苑によれば「集まって一つにまとまる」という意味で、宮城あきらさん曰く、「無数の移民群像と共に在るとの思いを込めて」命名したそうだ。沖縄移民の結束の強さを象徴するような誌名と言えそうだ。
     ◎
 高安宏治副会長によれば、サンパウロ市ビラ・カロン支部でのウチナーグチ(沖縄弁)教室には、30人ほどの県人子弟が通っており、『群星』が生徒の間で回し読みされたという。関心を持つ児童にとっては、日語学習の教材としても活用できるかも。とあれば今後は日ポ語に加え、ウチナーグチ三語での出版が必要?