120周年で「絆」テーマ=第54回パラナ民族芸能祭=若者やブラジル人の登場増える

 【クリチーバ発=桃園嵩一記者】パラナ州都クリチーバ市のグアイーラ劇場で8日午後8時半から、クリチーバ日伯文化援護協会は『第54回パラナ民族芸能祭』の一貫として、「絆」をテーマに日本舞踊や太鼓、YOSAKOIソーラン等の堂々とした演技を披露し、集まった1400人を超える観客を魅了した。1日から始まった同祭では15日間で、10カ国以上の移民子孫による民族芸能団体が日替わり公演を行なう。

 日伯外交関係樹立120周年の今年は冒頭のナレーションでも日伯関係や日本移民の歴史が読み上げられた。しんと静まり舞台に視線が集中する中、「若葉太鼓」の威勢のいい掛け声で曲『絆』が始まり、気迫溢れる演奏で一気に観客は盛り上がった。
 花柳龍日本舞踊名取の花柳龍千多さんが指導する「おどり会」は「輝き」をテーマに、『花』では赤と黄緑の二色の美しい着物をまとい艶やかな舞で観客を魅了した。若手の活躍が光り、男性二人で舞った『荒城の舞』や『寿ぎ舞い扇』等も披露された。
 沖縄県人会クリチーバ支部約10人は古謡『安里屋ユンタ』、琉球国祭太鼓は曲『蓬莱エイサー口説』で舞台を駆け回るシーサーを登場させ、その迫力に観客は圧倒されている様子だった。
 「若葉YOSAKOIソーラン」の『松緑』では迫力ある息の合った演技に観客席からはこの日一番の大きな歓声が飛んだ。生長の家の美しい合唱、子どもたちのかわいらしい歌声が響いた「南パラナ民謡保存会」も登場し、高齢者の多い同文協「婦人会」も元気に日本舞踊『御陣乗太鼓』を舞った。
 最後は華やかにこの日の出演者全員で『炭坑節』を踊り、幕引き直前には日伯外交関係樹立120周年と大きく書かれた横断幕が登場し、日伯の絆をアピールして幕を閉じた。
 大島裕一実行委員長は「出演者150人、裏方50人、今年も皆で頑張った。日伯の絆はもちろん、関係者みんなの絆も深められたんじゃないかな」とさわやかに汗をぬぐった。
 急きょ関係者と一緒に横断幕を持って舞台に登場した池田敏雄在クリチーバ総領事は「日本文化の良いアピールになったと思う。文協の皆さんにはいつも助けられている」と出演者たちに感謝している様子だった。
 初舞台になった非日系のヤラ・ノゲイラさん(20)は日本舞踊で2演目に参加し、「元々バレエをやっていたけど、インターネットで芸者を見てどうしてもやってみたくなった」と閉演後に清々しい笑顔を見せた。
 龍千多さんは「よく若い人が年配の方を引っ張ってくれた。出演者の皆さんが本当に輝いていました」と労い、「今日の舞台を見て入門希望者が来てくれた。来年はこの舞台に上げなきゃ」と早くも準備に忙しそうな様子だった。