日本の資産がブラジル当局に筒抜けに?!

上院議員らに説明するレヴィ蔵相(Foto: Marcos Oliveira/Agência Senado)

上院議員らに説明するレヴィ蔵相(Foto: Marcos Oliveira/Agência Senado)

 犯罪者らが外国に隠している資金を、国が〃資金洗浄〃する代わりに35%の上前をはねる?――とでもいえそうな「在外資産再国内化暫定令」(repatriação de recursos)が問題になっている▼従来は州ごとに%が異なっていた商品流通サービス税(ICMS)を均一化することで生じる減額分を補うための新財源として、政府から提案された。苦肉の策を繰りださないと財政が収まらないようだ▼これが始まれば、犯罪とは無関係な在外の銀行口座や家財、債券などの資産で当地の国税局に届け出ていないものも該当し、定められた期間に税金と罰金の計35%を支払えば合法化できそうだ▼「国が資金洗浄」モドキとはとんでもないと思ったが、同様の法律はポルトガル、イタリア、スペイン、ドイツ、米国などでも実施済み。案外、一般的らしい▼この暫定令が時宜を得ているのは、国際的な脱税等を防ぐために、各国の税務当局による非居住者の口座情報の交換を容易にする「税務行政執行共助条約」が13年から発効したからだ。日本は発効済みで、ブラジルも署名を終え、発効に向けた準備をする段階だ。つまり、いずれは日本の資産がブラジル税務当局に筒抜けになる流れだ▼思えばブラジル籍企業で日本に支店があり、当地の国税局に申告していない資産をもっているとか、戦後移民で日本の銀行口座に親の遺産があるとか、日本での寄付集め用に日系団体が作った口座のお金が残っているとか、デカセギ時に給与受け取り用に口座を開設して今もヘソクリとして残しているとか、日本就労中に家を買って息子ら家族を住ませて自分は帰伯しているとか―はこの暫定令の範疇かも。(深)