ブラジルはギリシャ化、それともアルゼンチン化?

エスタード紙の紙上座談会の記事

エスタード紙の紙上座談会の記事

 ニュースで子供まで「汚職撲滅」と叫ぶようになった。〃猫も杓子も〃という段階になったら、むしろ眉に唾をつけて聞くべきだ。なぜならペトロブラス(PB)疑惑がなくても不況になったからだ。本来の問題の本質は「政策」自体だと思えてならない▼8月30日付けエスタード紙の応用経済研究所の学者対談は興味深かった。ある研究者は《「汚職が減れば国家歳入は足りる」とよく聞くが、事実ではない。例えばPB汚職の損失は約100億レアルだが、ガソリン価格の凍結(ジウマの政策)によるPB損失は800億レアルだ》と指摘する▼政府は10省庁を統廃合する案を発表したが、同氏は《もし省庁を半分にしても削減できる経費は250億から300億レアル程度》と見積もる。失策のツケの大きさが分かる▼「我が家、我が人生」政策もそうだ。最下層向け住宅の建設費用の95%は政府負担で、本人が払うのは5%。最も税金を払わない層に、最大の利益を与える〃ばら撒き政策〃の多さに左派政権の過剰歳出の病根がある▼別の研究者が恐れているのは、ブラジルの「ギリシャ化」でなく「巨大な亜国化」だ。《経済危機だろうが、ギリシャの方が一人当たりの平均所得が高く、遥かに良い生活をしている》と比較対象ですらないと論じる。同氏は1920、30年代には世界10大経済大国に数えられた亜国が現在、債務不履行に陥っていることにブラジルの将来を重ねあわせている▼汚職ばかり問題にして、PTを追い落とせば全て解決するかのような短絡化した見方では、単なる反対勢力の言い分だ。もっと政策自体のよしあしを議論することが肝要だ。(深)