非日系指導者が教本発刊=講道館柔道の道しるべに

 サンパウロ州サントス在住の元柔道指導者パウロ・ドゥアルテさん(67)が、このほど指導教本『Principios Metodologicos do JUDO(柔道の基礎理念)』を刊行した。講道館柔道における理念や精神、基本動作などが盛り込まれた。
 「優秀な選手や指導者には、残念ながら亡くなった方も多い。私が受けた先輩の指導を後世に残したい」との想いから執筆に至った。
 最も重視したのは「礼儀」で、「広大なブラジルでは、各州によって柔道に対する向き合い方や指導方法が異なり、統一されていない印象。講道館の柔道は人格形成にも役立つので、そんな哲学を全国的に共有しなければ」と使命感を滲ませた。
 1948年8月8日、リオ州生まれ。ブラジリアに転住後10歳で柔道を始め、14歳には基本動作である五教の技を体得した。19歳で練習中に左足を負傷し、術後の感染症で足を切断する不運に見舞われた。翌年から指導者に転向し、昨年引退。92年バルセロナ五輪の金メダリスト、ロジェリオ・サンパイオ(65キロ級)らを育てた。
 かつて代表チームの監督を務めた岡野脩平さんは、「足を失った後も柔道に対する彼の熱意は冷めなかった。非日系による教本だからこそ意義がある。講道館の提唱する正しい柔道を伝えてほしい」と期待を込めた。
 販売価格は130レ。インターネットで取り扱っている。詳細はパウロさん(13・3225・3222/99143・1313)まで。