若くして亡くなった友人の姉とその家族

 7月末にブラジル人の親友のお姉さんが急死して以来、初めて彼の実家を訪ねた。「どうした2カ月も来ないで薄情者」と相変わらず髪の毛をクシャクシャにするほど抱きしめてくれるお父さん。食べきれないほど料理を出してくれるお母さん。
 まるで何も変わらないようだが、大事な人がいない。会が盛り上がってくると、お母さんがハラハラと涙をこぼし始めた。コラム子も自分から触れずにいたが、その件を話さないわけには行かない。「楽しければ楽しい程、彼女の不在が辛い。彼女はすばらしい娘さんでしたよね。何の力になれるか分かりませんけど、私のことも頼りにして下さい」と伝えた。
 翻訳を担当していると、死亡事故や事件は日常茶飯事だ。そんなとき「何人死亡」と機械的に訳すのでなく、その行間には、必ず悲しむ人がいるのだと肝に銘じた。(規)