オーリャ!

 強盗(アサウト)に遭遇してから1カ月が経った。それは金曜日の深夜0時過ぎ、編集部から帰宅途中のリベルダーデ大通りで起きた。
 進行方向の歩道に3人が座っており、他に人通りもなく、街灯からも外れていたので、警戒し少し逸れて歩いた。追い越した辺りで急に飛び掛られ、背中のバッグを引き剥がそうとされた。
 頭の中は意外と冷静で、顔を見ると40代女性と息子であろう10後半の少年が2人。抵抗すると脇腹を何度も殴られた。不思議と痛くないのは少年の細すぎる腕のせいだと気づく。
 途端に自分が情けなくなったが、錆び付いたナイフを見せられ、観念して力を抜いた。なんと靴まで持っていかれた。
 「ブラジルでアサウトは税金の一種」という言葉で納得することにし、「日本を一歩出れば弱肉強食の世界」という教訓を頭に刻みつけた。(桃)