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元デカセギに30年禁固刑=松本市貸金業者強殺事件=判事「冷酷で非情な危険人物」=執行猶予なしの最高厳罰

 長野県松本市で2003年7月10日夜、貸金業の全達守(ぜん・たつもり)さん=当時59歳=が殺害され現金が奪われた事件で、日本政府の代理処罰(国外犯処罰規定による訴追)要請を受け、当地で強盗殺人の罪で起訴されていた日系人のジュリアーノ・エンリケ・ソノダ被告に対し、サンパウロ州裁判所は22日、禁固30年の判決を公表した。

 禁固30年はブラジルの刑法が認める最高年数の刑罰で執行猶予も付かない。担当のカルロス・エドアルド・フランコ判事は12ページにわたる判決文の中で、「事前に計画された犯罪で、殺人も、強盗の延長ではなく意図されたものだった。被告が凶悪な罪を犯した危険人物であることに疑いの余地はなく、厳重な処罰に値する」と断罪した。
 第一審判決のため控訴は可能。同被告の共犯者として逮捕された日本人の男には無期懲役の判決が出ており、既に服役している。
 判決文によれば、証人の4人が、被告が犯行を打ち明けるのを聞いたと証言している。被告が日本に住んでいたときに同居していたという日系人男性によれば、被告は犯行前に計画を打ち明け、さらに犯行後には被害者を殺害したことを明かし、「(札束を見せ)たった40万(円)しか盗めなかった」と話していたという。
 共犯者の日本人の男に最初に共犯を持ちかけられたという別の日系人の証人は、「(被告から)罪を打ち明けられた後、脅迫を受けた」と証言した。
 証言によれば、犯人2人は被害者宅に侵入した後、被害者の首を手で絞め、ロープで両側から引っ張り、窒息死させた。その後、被害者が所持していた現金約40万円を奪い逃走したという。
 判事は「日本人共犯者の存在、被害者宅への侵入方法、殺害の仕方、犯罪のおおよその発生時刻までに至る詳細な証言が、その他の証拠と完全に一致し、信憑性が高い」と指摘した。
 また、日本人の受刑者と内縁関係にあったという女性は、「犯行前、共犯者としてソノダ被告の名前を(受刑者から)聞いていた」と証言している。
 現場には同被告が持っていたスニーカーと同じモデルの靴の足跡が残っており、日本の警察との電話での会話で、同被告は、犯行は否認したものの、共犯者と被害者宅に行ったことは認めたとされている。
 判事は、「(被告は)一定期間の拘留を経た今でも、反省している様子はなく、公判では嘘をつき罪を認めなかった」とし、「高齢の人間を、もがき苦しませ死に至らせた。拳銃で射殺するよりも残酷な手口。冷酷で計算高く、際立って非情な人間性が表れている」と厳しく非難した。
 さらに、被害者遺族の心情や、事件が他の在日ブラジル人や日本に訪問するブラジル人に及ぼしたであろう影響にも触れた。
 地元メディアの報道によれば、被告は犯行後数カ月間日本に滞在した後に帰伯した。サンパウロ州フェルナンドーポリスに潜伏していたが、日本政府の代理処罰申請を受け、サンパウロ州検察が08年1月末に起訴。同年2月に同地で逮捕され、裁判所は未決拘留を命じ、以降非公開で審理が進んでいた。

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