ブラジルだから人情話!=浪曲師春野さん公演へ意気込み

 【既報関連】今週末に行われる公演のため、浪曲師の春野恵子さんが7日、着聖した。当地の浪曲文化を知り、自らブラジル公演を発案したという春野さんに、公演への意気込みを聞いた。
 春野さんは2014年のニューヨーク公演成功を皮切りに、積極的に国外公演を行う。その中で浪曲文化の根付く当地に興味を持ち、在日ブラジル人の友人らの協力を得て、1年かけ企画実現を果たした。「本当に実現するとは」といまだに信じられない様子だったが、「実際に浪曲の話をしてみたい」と早くも当地での交流に意欲を見せた。
 公演の目玉となる演目は『両国夫婦花火』。江戸・隅田川花火大会を舞台にした、親子、夫婦互いの想い合いを伝える、笑いあり涙ありの人気人情話だ。この演目を選んだ理由について「ブラジルには古き良き日本の義理人情を持った人たちが沢山いるから」と話す。国外公演ではその土地柄にあった親しみやすい演目を選ぶという。イタリアでは男女の恋愛を描いたものを披露した。
 円熟の聞き手たちで溢れる会場を想像すると、「いつもの海外公演と違う。日本でやるような気持ち」と表情を引き締め、「物語の山場では、ぜひ花火を思い浮かべて欲しい」と意気込みを語った。
 公演『春野恵子 浪曲ツアーinブラジル』は、10日午後2時からサンパウロ市の広島文化センター(Rua Tamandare, 800, Liberdade)で。浪曲には付き物の「待ってました!日本一!」といったかけ声講座や、三味線に合わせて声を出す弟子入り体験も行われる。ポ語字幕付き。入場無料。ニッケイ新聞主催。在聖総領事館、国際交流基金後援で、日伯外交関係樹立120周年記念、大阪市の助成事業。なお8日午後には、日本人学校で生徒向けに公演・ワークショップを実施した。

■春野恵子さん略歴
 東京大学教育学部卒。知性派タレントとして芸能活動を行っていたが、舞台役者への憧れが強く浪曲と出会いその道を志す。上方浪曲の女流第一人者、二代目春野百合子に師事した。
 近年では各地で年間200回もの公演をこなし、12年には未来の大阪文化を担う人材に対して贈られる大阪市の「咲くやこの花賞」を受賞。14年には中国、ドイツ、ロシアなどで公演を成功させるなど、浪曲文化の普及に八面六臂の活躍を見せている。