うつろ舟と俳諧集がポ語に=出版記念パーティー17日

ポ語版「うつろ舟」と「わがふるさとの歌」

ポ語版「うつろ舟」と「わがふるさとの歌」

 コロニア作家・松井太郎氏の小説『うつろ舟』のポ語版『A Barca vazia』(199頁)および、小田輝子氏のハイカイ(俳諧)集『わがふるさとの歌』の日ポ対訳版『Cancao da terra natal』(101頁、共にEscrituras社)が出版された。その記念パーティーが17日午後2時から、文協ビル9階(Rua Sao Joaquim, 381)にて開催される。
 『A Barca vazia』は日系二世の生き様を通して、移民がその国に同化する瞬間を描いた『うつろ舟』をポ語翻訳したもの。校正は川端康成作品を数多くポ語翻訳している柴門明子さんで、訳者はサンパウロ総合大学で日本文学を研究している岩佐リジアさん。
 翻訳から出版まで3年かかっており、宮坂国人基金が助成した。監修を務めたブラジル日系文学会の中田みちよ会長は、「松井さんの本にはブラジルに来た日本人がどうやって『ブラジル人になるか』が描かれている。これを移民の多いブラジルの人々が読めば共感を呼ぶのではと思い、ポ語に翻訳した」と出版の理由を説明した。一冊35レ。
 『Cancao da terra natal』は、小田輝子氏のハイカイ集『わがふるさとの歌』の日ポ対訳版で、左頁で日語、右頁でポ語が記された。
 小田さんの日常からつむぎ出されたハイカイ約100句が、情緒豊かな説明文とともに収録されている。
 日語訳した中田会長は「たまたま小田さんの本を手に取ったら、余りに面白くて翻訳してしまった」と出版経緯を話し、「ハイカイを訳する時は字面だけでなく、そこに込められた感情まで味わうことが必要」と語った。一冊25レ。
 当日は特別価格で書籍を購入することができ、サイン会も行なわれる予定(著者は高齢のため欠席)。いずれもブラジル内の大手書店で販売中。