公的権力の暴力の文化に終止符を

セー大聖堂の入り口に掲げられたヴラジミル氏追悼集会の案内(Roberto Parizotti/Secom CUT)

セー大聖堂の入り口に掲げられたヴラジミル氏追悼集会の案内(Roberto Parizotti/Secom CUT)

 公的権力による暴力の文化は変わるべきだ―。25日にサンパウロ市セー大聖堂でイヴォ・エルゾギ氏が語ると、会衆からは拍手が起きた▼イヴォ氏は、軍政下の1975年10月25日に拷問死したヴラジミル・エルゾギ氏の息子だ。ヴラジミル氏はユーゴスラビア生まれで本名はヴラッド。ブラジルでは違和感があり、ヴラジミルと署名し始めた帰化人で、クルトゥーラ局理事も務めたジャーナリストだが、ブラジル共産党加担容疑でサンパウロ市の陸軍秘密警察で拷問を受け、死亡した▼当初は自殺とされ、窓枠にバルトを掛けて首を吊った写真も公開されたが、埋葬時に遺体を改めたユダヤ教の教師(ラビ)が電気ショックによる拷問死と気づき、一般のユダヤ人墓地への埋葬を認めた。同氏が拷問死した事は2013年3月に遺族にも正式に通達されたが、ヴラジミル氏は軍政下での拷問死の一例に過ぎず、公的権力による暴力はその後も後を絶たない▼13年8月にリオ市のファヴェーラで軍警に連行されて姿を消した建築作業員のアマリウド・デ・ソウザ氏も電気ショックによる拷問死とされ、イヴォ氏が「父親と同じだ」と嘆いた事がある。サンパウロ市東部で20日夜起きた強盗事件では、軍警が犯人に電気ショックを加え、ナイフを突きつけて「殺すぞ」と脅したが、これも公的権力による暴力だ▼サンパウロ市の件では、軍警の行為を疑問視し、軍曹逮捕を命じた市警警部が、軍警達から脅迫されたりもしたが、一般人が見れば逮捕されても当然の行為に抗議が起きるのが解せないのはコラム子だけか。ヴラジミル氏追悼集会には8千人が参加したが、公的権力による暴力に懸念や嫌悪を持つ人はもっと多いに違いない。(み)

聖堂内に集まる人々(Roberto Parizotti/Secom CUT)

聖堂内に集まる人々(Roberto Parizotti/Secom CUT)