Vカロン沖縄祭り=1万人で熱狂カチャーシー!=BEGIN総立ち15曲=届けた「みんなのステージ」

  ブラジル沖縄県人会ヴィラ・カロン支部(上原テーリオ会長)が『第13回沖縄祭り』を7、8日両日、同支部前のマンシェステル・クラブで開催し、過去最高 の約3万人が訪れた。集客の最大の原動力になったのは、特別ゲストとして両日公演を行った沖縄県出身で日本の人気バンド『BEGIN』だ。公演後の10 日、サンパウロ市内ホテルで本紙単独取材に応じ、3度目の来伯の感想を語った(全文掲載の別ページはこちら)。

 7日午後8時過ぎ、『BEGIN』の出演が間近になる頃には1万人が集まった。3人が姿を現すと、大きな拍手と共に上がった「おかえり」の声に「ただいま!」と返した。
 最初は「バルーン」や「シュハスコ」など、ブラジル風のナンバーを届け、中盤には演奏に合わせて琉球国祭り太鼓やレキオス芸能同好会が演技し、観客を沸かせた。
 代表曲「涙そうそう」「島人ぬ宝」はもちろん、アンコールでは観客の声に応じ、何と5曲を演奏。計15曲の最後は観客全員が立ち上がり、1万人が総「カチャーシー」状態に。熱狂を残したまま舞台を降りた。

最後は1万人でカチャーシー

最後は1万人でカチャーシー

 午後5時からの開会式には、呉屋春美文協会長はじめ、3団体代表、日系議員が勢ぞろいした。沖縄系二世の神谷牛太郎サンパウロ市議の姿もあり、祭りの開催を祝福した。
  100を越すバザリスタの中には、市内の沖縄料理店、各県人会支部が数多く出店。山羊汁が名物のサンマテウス支部の久重茂雄会長(56、ボリビア二世) と、ヴィラ・カロンで食堂を経営する金城シゲマサさん(55、二世)は「県人同士が交流する場にもなっている。毎年楽しみでしょうがないよ」と肩を組ん だ。
 2日目にも友人のブラジル人ミュージシャンが多数応援に駆け付ける等、初日同様に祭りを盛り上げた『BEGIN』。10日にサンパウロ市内のホテルで、これまでの沖縄県人との交流を振り返る単独取材に応じた。
 「『BEGIN』にではなく、沖縄祭りに集まった人をどう楽しませるか」を心掛けてステージに上がったというボーカルの比嘉栄昇さん。公演を振り返り、地元エイサー太鼓隊の存在が、「皆のステージなのだという気持ちを伝えてくれて、すごく有難かった」と話した。
 電子ピアノの上地等さんは、会場からの「おかえり」の言葉に「仲間と思ってもらえて本当に嬉しい」、「3回も来るとまた会いたい人が増えてきて、ライブとかでは無く、純粋に友達に会いに来たい」と語った。
 来年はブラジル沖縄県人会、同支部がそれぞれ創立90周年、創立60周年を迎えることを伝えると「え? 来年来た方が良かったんじゃない?」と冗談を交じりに驚いた顔を見せ、「出来ることがあれば、やるつもりでいます」と協力を約束した。

 

■ひとマチ点描■南大河州の『BEGIN』ファン

ジョナス・ダダット・ミットさん(29)、ルアナ・ガブリエラ・ミットさん(50)夫妻

ジョナス・ダダット・ミットさん(29)、ルアナ・ガブリエラ・ミットさん(50)夫妻

 「『BEGIN』の曲には「サウダージ」があるの」―最南端の首都ポルト・アレグレから長距離バスに20時間揺られ、やってきた2人は魅力をそう話す。
 友人の勧めで98年にファンになり、実は13年の来伯公演には手作りの額をプレゼントしようとしたが失敗。待ちに待った今回、リハーサル中に手渡すことに成功した。
 意気揚々と祭りを楽しむ夫妻に、「3人に伝えたいことがあるか」と尋ねると、「曲の題名にもなっている『シュハスコ』の本場は、私たちの故郷。ぜひ味わいに来て!」とラブコール。
 3人にそれを伝えると、その熱意に驚いた様子で「しかと承りました」との返答。南伯でも公演が実現し、歓喜の瞬間は訪れるか!? (石)

 

□関連コラム「大耳小耳」□

  『BEGIN』の海外公演は現在までブラジル、ハワイでのみ行なわれてきた。ハワイ公演のきっかけとなったのは、第2次大戦直後の荒廃した沖縄に、ハワイ の県系人が豚550頭を軍艦で届けたという逸話だ。それを知った『BEGIN』の3人は、「遊びではなく、本気でライブをする」と決めたという。今回は3 日~11日まで滞伯、実はその後、ペルーへと向かった。理由は「県人会の方に呼ばれてお祭りに出るため」。世界のウチナーンチュとの絆を深め続けるよう。