人文研=日系社会実態調査の下準備=全伯16代表が議論交わす=来年4月から本格調査開始

 サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長)が創立50周年を記念して行なう『日系社会実態調査』の本格実施に先立ち10月16日、文協でワークショップ「日系コミュニティの現状と展望」を開催した。全伯各地から16の日系団体代表が出席し、順に現状を報告した。

 汎アマゾニア日伯協会元会長の小野重善会計理事は、「一世の理事が減り二、三世となると関心が薄れ会員数も減少。かつては運営資金の大半も寄付でまかなえたが、今は皆無」と時代の変化を報告。ペルナンブコ州レシフェ日本文化協会の桑江ワルテル元理事も、「移民自体が少なく会員数は140家族程度。運動会、盆踊り、日本祭りなど2カ月に一度行事を開催するが、実際に利用するのは40家族ほど。会館ではなく海水浴や観光に向かう」と問題点を挙げた。
 そんな中、サンタカタリーナ(SC)州日系団体連合会の新里エリジオ義和会長からは、「規模は小さく会館も大きくない。身の丈にあった運営を心がけている」としたが、「第1回目の開催を迎えた日本祭り&七夕祭りや、太鼓、漫画の教室を開催している。漫画を通じて若者を取り込んでいる」と前向きな報告も。
 その他、サンパウロ州内から聖南西文化体育連盟(UCES)の山村敏明会長、サンパウロ市文協、援協、アリアンサ、日本語センター、アルジャー、サントスの代表者ら、遠方からはリオ州日伯文化体育連盟の鹿田明義理事長、パラナ州マリンガ文化体育協会の塩崎アフォンソ会長、ピアウイ州都テレジーナの中山征治さんも出席。午後には、「世代交代しつつどのように成長するか」といった問題を中心に議論がかわされた。
 外交120周年に合わせ本年スタートするこの企画は、2年かけ全伯450~500あるとされる全日系団体のフィールド調査を行なうもの。
 総予算は約80万レアル(約2500万円)とし、今回の会合は外務省の助成によって実現した。助成金の申請結果が揃う4月から、本格的に始めたい意向。すでにサンパウロ州マリリアとカフェランジアで予備調査を行なっている。