日伯外交関係樹立120周年に水を差したジウマ大統領

ジウマ大統領(公式写真=Credito: Roberto Stuckert Filho/PR)

ジウマ大統領(公式写真=Credito: Roberto Stuckert Filho/PR)

 ジウマ大統領が2度目の訪日土壇場キャンセルをしたことで、準備万端整えていた日本側はハラワタが煮えくり返る想いをしているだろう。共同通信は《再度の中止は、ことし外交関係樹立120周年を迎えた両国関係に水を差す形となった》とはっきり書いた。ブラジル在住者としては大統領のいい加減さに「呆れる」の一言だ▼昨年は安倍総理が来伯し、今年は秋篠宮ご夫妻が来られた。来年のリオ五輪、次は東京五輪であり、安倍総理との会談も今回予定され《天皇陛下とも会見する予定だった》(共同)とある▼ドタキャンの可能性があるからこそ両国外務省は直前、1週間前まで公表しなかった。その代わりに公表後であれば「何があっても行く」という信頼感がないと〃120年の外交関係〃がゆらぐ。しかも2回目―前回の失態から何も学んでいない。まさにこの状態が示す通り、今のジウマは〃死に態〃政権だ。たとえ訪日しても儀礼的な意味のみで、両国の将来に大きな前進をもたらす力があるのか、甚だ疑問だ。より安定するであろう次期大統領を呼ぶ方が結果が伴うのではないか▼ルーラからのPT政権の特徴は「ゲリラ思考」だと感じる。メンサロンで逮捕された面々もそうだが同党創立者の多くは反軍政活動家だった。彼らは銀行を襲って資金を作り、非合法活動を続けてきた。デウシジオ上議の録音内容もしかり、表向きは遵法する振りをしながら、本音では「目的達成のためには手段を選ばない」=「法律軽視」という姿勢が伺える▼〃政治ゲリラ〃を相手に紳士外交は通じない。アメと鞭を上手に使い分ける外交手法を磨くことこそが日本の課題だ。(深)