山本喜誉司賞=野田、天谷、水谷3氏に栄誉=創設50年祝いポ語記念誌も

 農業分野の功労者を顕彰する『第45回山本喜誉司賞』の授与式が11月27日夜、文協貴賓室で行なわれた。トマトの品種改良に貢献したアマゾナス州マナウス在住の野田博さん(72)、サンパウロ州レジストロの天谷良吾さん(61)、ライゼングループ副社長の水谷イサムさん(56、ともに二世)3氏が栄誉に浴した。
 サンパウロ州ポンペイア生まれの野田さんは、アマゾン地域でのトマト栽培に貢献。「耐病性があり熱帯環境に適した新種『ヨシマツ』は両親の名前(ヨシマサ、マツ)から命名した。アマゾンの農業改善のため無償配布した」と紹介、受賞に感謝を示した。
 天谷さんはサンパウロ州レジストロで、1930年代から経営する製茶工場「天谷」の三代目。お茶の里として栄えた同地では、最盛期の80年代に40以上もの工場があったが、今では天谷茶のみとなった。「今まで最高のお茶を求め生産してきた。紅茶、緑茶ともに質の向上に努めたい。景気回復を信じ力強く乗り切りましょう」と呼びかけ、今後も経営努力を続けていくことを誓った。
 バイオ燃料や砂糖を製造するライゼングループ(コーザンとシェルの合併企業)で副社長を務める水谷さんは、長年に渡りサトウキビ栽培に尽力した。環境整備や融資による小農支援にも貢献した同氏は、ピラシカーバ日伯文化体育クラブで会長も務める。企業幹部らしく「不景気で涙を流すかハンカチを売るか。ブラジルの経済状況が悪くとも、考え方一つでチャンスにもなる」と訴えた。
 賞創設50周年を記念し、歴代委員長6氏に表彰状が送られた。代表謝辞に立った高橋一水さんは、「半世紀が流れても継続されている事業とあって、創設当時の熱意は相当なものだったはず。尊い趣旨の継承を願う」との言葉を送った。
 またポ語記念誌『ブラジル農業への日系社会の貢献』(224頁)も刊行された。果樹や蔬菜、養鶏、花卉、コーヒーなど分野ごとに歴代表彰者を紹介している。選考委員の山添源二委員長、常広アルフレッド副委員長らが執筆。印刷した1500部は文協事務局で無料配布している。式典では、山本喜誉司氏の孫・利夫ルイスさんにも手渡された。