PwCブラジル=第5回=2015年度:新税制初度適用とその課題=矢野クラウジオ(タックス・ディレクター)

 2015年度は多くの企業にとって法律12973/2014で制定された新税制の適用初年度でした。この新税制の目的は、2008年以降ブラジルでIFRS導入によって改正された個々のブラジル会計基準に対する税務上の取扱いを定義するものでした。
 税務当局は、連邦税(IRPJ、CSLL、PIS/COFINS)の計算から、会計基準変更の影響を排除することが目的でしたが、新税制に準拠するために企業は、会計帳簿あるいは会計帳簿外の管理を維持することが求められています。
 「管理」とは具体的には、公正価値の調整、現在価値の調整、あるいは会計上と税務上の減価償却耐用年数の差を管理する会計帳簿上の補助簿を意味します。
 それ以外にも、新税制に準拠するために、税務上の管理、すなわち会計帳簿外の管理が求められています。
 これらの管理は資産ごと、あるいは負債ごとに管理することが求められており、一括管理や同種類の資産ごとの管理は認められていません。
 これはIFRS導入により企業に影響を与えた全ての影響を分析することが必要となります。また税務上要求されている適切な管理を分析し、会計帳簿をサポートしているITシステムへの登録及び導入についても分析が必要となります。
 これらの管理は全て、企業によって政府に詳細な電子財務諸表データがデジタル会計帳簿(ECD)を通じて送信されます。
 ECDの情報に基づき、企業はIRPJおよびCSLLの計算を電子税務申告(ECF)により提出する義務があります。もし誤りや情報の欠陥があった場合には、税務当局から問われることになります。
 企業の大半は、このような管理の必要性について十分な注意を払っていないことが実情であり、深刻な税務リスクがあります。
 最後になりましたが、2015年度に関する2016年のECD及びECFの提出期限は、それぞれ5月と6月になり、これらの申告義務に準拠するためには、より厳密な計画と適切な履行が必要となります。
(問い合わせ=claudio.yano@br.pwc.com ※この記事は、ブラジルにおける法令等の改正動向等をお知らせするため発行されたものであり、一般情報の提供を主たる目的としていますので、個別ケースに対する専門的アドバイスとして、ご利用頂けない場合がございますのであらかじめご了承下さい)