こんなことでは元の木阿弥

 今年に入り、セー広場やジョアン・メンデス広場の電柱に、緑がかった灰色と灰色の袋をはめたゴミ受けが設置された。袋の色で、緑は再生可能な資源ゴミ、灰色はそうではないゴミを入れるのだなと判断したが、それを意識して捨てる人がどれだけいるか気にしていたら、案の定、紙が灰色の袋に投げ込まれた▼別の日は、セー広場でゴミ受けの下に両方の袋を一緒に入れたらしき大きなゴミ袋があるのを見、ゴミ収集者も区別していない事に驚いた。緑の袋に生ゴミを入れてゴミ回収日に出している人を見、ため息をついた事は数え切れない▼ハダジサンパウロ市市長がレジ袋廃止のため、再生資源ゴミとそれ以外のゴミ用に統一規格で色違いの袋を用意し、罰金などを定めたのは昨年1月。4月からは規格外の袋の使用が禁じられ、罰金徴収も始まったが、ゴミの分別収集の意識を持っている市民はまだ一握りだ▼条例発効時は新しいレジ袋は全国に広がるともいわれたのに、現実はゴミ収集に携わる人さえ十把一絡げ。折角の名案も元の木阿弥だ。最初の発想が良くても徹底しないのは、市民への啓蒙活動の不足故か▼人間はついつい楽な方に流れがちだし、自分のやり方を変えるのを良しとしない人も多い。ルール変更後も他の人がやっているからとの理由で従来通りのやり方を貫く人もいれば、小遣い銭をくれたら、一般ゴミと一緒に瓦礫を運んでやるというゴミ回収者さえいる▼サンパウロ市にはもうゴミを埋め立てる場所もない事や、分別収集用のエコポントや分別センターがある事などを知らない人もいるのだろうが、啓蒙活動は市の責任だ。所期の目的を達成出来ずに逆戻りとならねば良いが。(み)