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日本移民150年祭のために、今できること

『日本文化』の表紙

『日本文化』の表紙

 子供や孫、そのブラジル人配偶者など、読者と一緒に住んでいたり身近にいる者の、日本に対する興味をかきたてるような方法はないものか――そう考えて創刊したのが『日本文化』(サンパウロ青年図書館、35レアル)だ。読者のみなさんの周辺にいる子孫は、日系社会の核心的な存在だ。彼らがもっと今の日本のあり方や日本的な考え方、歴史に関心を持ってくれれば、日系社会の〃足腰〃が強くなるはず―という想いで編集した▼毎週土曜日に掲載する「国際派日本人養成講座」を楽しみにしている読者は多く、「あのポ語訳はないのか。ぜひ子供に読ませたい」という要望がいくつも寄せられていた。あのコーナーには、日本人をルーツに持つ者であることに誇りに感じるような内容が多く掲載されている。加えて、「日本文化の特質」を具体的に示す逸話が満載であり、日本に興味のあるブラジル人にも最適だ▼日本の話だけでなく、移民史も入れている。今回は昨年百周年を迎えた平野植民地の苦難の歴史だ。入植わずか3カ月の間にマラリアで80人もの貴い命が奪われた歴史は、未来永劫、語り継ぐべきではないか。それを礎石として現在の繁栄があることを、青年らは心に刻んでほしい▼日本語教育界からも「ブラジル人の青年や大人の生徒が増えているが、彼ら向けの教材が少なくて困っている」という声を良く聞く。そんな生徒用の副教材、〃読み物〃として使ってほしい。そう考えて、ルビ付きの日本語とポ語訳文を両方掲載した。ルビ付きなので生徒が辞書を引きやすいし、ポ語訳付きだから実際の意味も確認できる。翻訳を担当したのは、谷崎純一郎の実妹の子、林慎太郎さんで、実に格調高いポ語になっている▼日本移民150年祭(2058年)は42年後だから、我々はその時まで生きていない。でも、いま10代、20代の青年がその時の主役になってくれれば、立派な記念祭ができるはず。いま15歳なら57歳、25歳なら67歳だ。その頃、ブラジル社会における第一線の仕事から身を引き、〃第二の人生〃としてコロニアの活動を選んでくれれば、自然に150周年が視野に入ってくる▼いま10代、20代なら読者の孫や曾孫世代だ。そんな彼らが思春期、人格形成期に日本に対する関心を強く刻み込んでくれれば、定年退職をする前後からきっとコロニアの活動に戻って来る。「未来の日系団体幹部」は今、日本語学校や日系コレジオに通っている。彼らに投資しないでコロニアに将来はない▼「子や孫が日本に関心を持ってくれない。アニメや漫画ばかりで、もっと日本の社会や歴史に興味をもってほしい」と愚痴っているばかりでは、未来は変わらない。ぜひ『日本文化』を日系書店で購入して、子や孫、ひ孫にプレゼントしてほしい▼そして「どの話に感動していたか」もしくは「関心を持たなかったか」、「もっとこんな話を載せてほしい」という要望を寄せてほしい。今回は〃たたき台〃として作った。今後は読者からの要望を聞きながら内容を変えていき、第2巻、第3巻とシリーズ化したい。手を替え、品を変えながら、飽きが来ないように日本文化のいろいろな良い面を、青年の心に刻み込んでいくことが大切ではないか。(深)

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