マナウス=全伯初の公立ポ日2言語校=州知事の肝いり15日開校=日本政府も草の根協力

 アマゾナス州都マナウスに全伯で公立初、全日制日本語バイリンガル校「デジャウマ・ダ・クーニャ・バチスタ」(Escola Estadual de Tempo Integral Bilíngue Professor Djalma da Cunha Batista)の開校式が15日に行われた。ペルーからの「アマゾン下り」に始まり、戦前戦後を通じて多くの日本人が移住した同地。67年にゾーナ・フランカ(輸出加工区)として税制優遇が措置されるとホンダ、パナソニックといった日本の大企業が進出し、大規模工場を次々に設置。近年では、そこに職を求めるブラジル人若者からの日本語教育の需要が高まっていた。

 元々は一般的な州立初等教育学校として運営されていた同校は、バイリンガル校の全日制として新しく生まれ変わった。大半の公立校が午前午後の2部制をとる中、全日制は極めて珍しい。日本の中学生に当たる6~9年生が通い、全校生徒1100人を抱える。大半の生徒が非日系だ。
 外国語として日本語の授業を取り入れ、さらに午後から日本語で理科と算数の授業を受ける。初年度は6年生のみで次年度以降全ての学年で同様の教育が行われる。
 アジェンシア・ブラジル16日付記事によれば、6年生のエヴェニ・セイシャスちゃんはこの取り組みを《信じられない。このタイプの学校は全伯初なんでしょ。私の夢はバイリンガルになることだから、この経験はとても大事》と大歓迎した。州知事も《マナウスは不況後の経済発展のモデルになれる。多くの企業が工場設置に興味を示しており、優秀な労働力を育てる準備》と動機を説明し、ロシエリ・ソアレス州教育局長は《産業地区にある日本進出企業は87社。外からきた人が要職を担っているが、将来は州出身者の比率が増えるのでは》と期待した。
 山崎和夫在マナウス総領事は「協力を継続していく」と開校式で挨拶し、草の根文化無償資金協力の署名を行った。約7万米ドルの支援で、日本語学習視聴覚室のタブレット端末や液晶画面の購入に使われる。教材の作成は、11年に設立されたアマゾナス連邦大学日本語・文学学科が協力。日本語関係の教師を務めるのも、同大卒業生と在校生が主だという。
 日系社会からは西部アマゾン日伯協会が教材の面から支援する。同協の錦戸健会長によれば、同協会が運営する日本語教室には例年600人以上が参加しており、そのうち非日系が8割、同じく8割が小学生から大学生となっている。
 日語教育の需要の高さについて、錦戸会長は「日系企業への就職を見込んでいる層もある程度いる」と語り、加えて同地での日系人の重要性を強調する。「北伯は戦前から〃移住〃の意識が強く、文化を残す気概があった。今では日本人の精神が広くブラジル人にも受け入れらており、州知事も同様の見解だったのではないか」とした。