ブラジル人の公共心やいかに

 通勤途中にあるガソリンスタンドが閉店したら、わずか数日で不法駐車とホームレスが雑草のようにはびこり出した。このままだと店は廃墟同然になり、周囲の治安まで悪化しそうだ。
 閉店したとはいえ、他人の土地に勝手に車を停める感覚に驚く。ブラジルでは「自分がやりたいこと」を主張するのが常識で、日本に比べて相手の迷惑を考える感覚が薄いように感じる。
 先日も上品そうな高齢の女性がタバコをポイ捨てするのを目撃し、目を疑った。道にはゴミが多く、国を動かす政治家は平気で賄賂を受け取る。先進国になれる十分な資質があるのに足踏みしているのは、根底に「自分さえ良ければ」の思いがあるからでは。
 ブラジル農業を根底から変えた日系人だけに、今度はブラジル人の心に道徳や公共心を〃植える〃試みができれば、日伯友好の絆はより強固になるだろう。えっ、日系人にも公共心が薄れてきている? それじゃ困った…。(将)