聖南西=競技大会で人種差別騒動=後日、両者が握手し解決=連合会が即時対応=「絶対にすべきでない」

 聖南西文化体育連合会(UCES)主催の「第7回ソフト・バレー大会」(会場バルゼン・グランデ)で2月21日、日系女性選手が非日系選手に対して人種差別的な発言をし、差別を受けた男性が抗議、自主的に出場を取りやめるという騒動があった。事態を重く見たUCESの山村敏明会長は2日、イビウナ市内で両者と両文協体育理事、UCES評議委員を招集した昼食親睦会を開いた。その場で女性が謝罪して手打ちをし、「円満に解決した」と本紙に報告した。

 騒動はイビウナ対オザスコの試合で起きた。イビウナが勝利した後、オザスコの女性選手がイビウナに非日系男性が出場したことを非難したことで始まった。男性は強く抗議したが、周囲が男性をなだめ、男性が自主的に出場を取りやめることで、一先ず騒ぎはおさまった。男性は「訴える」と発言したことも周囲は明かしている。
 その男性は文協の正式な会員で、昨年度までは会計理事を務めるなど、活動に積極的だった。
 山村会長によれば、2日の食事会では、女性が謝罪すると男性の怒りもおさまり、当事者同士が握手を交わして円満に解決した。早期の対応が功を奏した形だ。
 本紙の取材に対し、山村会長は「たしかにごく一部で人種にこだわっている会員もあったよう。起こってしまったからにはしっかりと受け止め、今後二度と起きないような体制を作っていく」としている。
 UCES定款には、「人種や宗教の差別を否定する」という項目がある。今月26日には、各文協役員が出席する定例役員会が開かれる。「一連の騒動を説明し、規約があることを改めて確認する。日本の文化を紹介していくことが本来の目的だ」とした。
 ソフト・バレーは30~50代の若い選手が中心で、近年人気が高い。身長や筋力の違いで日系、非日系の間に実力差が出ることがあり、一生懸命に練習して勝敗を競うあまり、白熱しすぎる場面が生まれるようだ。その辺が遠因となって騒動が起きたと見られている。

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 聖南西連合会で起きたことは、どこの日系団体でも起きえること。いや、起きてきたことだろう。高齢一世が中心のシニア・バレーと違い、ソフト・バレーは40代、50代の二、三世の選手が中心。その年代で、この種の差別発言が当たり前になれば、いずれ一般社会から痛いしっぺ返しを食らう。山村会長が即座にしっかりとした方針を打ち出したことが、すばやい和解につながり、こじれないですんだ。他の日系団体も、これを他山の石としてほしいところ。