会議所シンポ 景気回復はいつ?=今年が底か、出口はどこに=(下)=健闘する日系自動車メーカー

160229-camara2-fuka 溝口イサオ自動車部会長は、昨年まで四輪販売実績は3年連続で前年を下回る実績と報告。15年の国内販売実績257万台(前年比27%減)に対し、自動車製造業連盟は16年を238万台まで落ち込むと予測するが、同部会では200~210万台とさらに悲観的な展望をしている。
 13年から昨年まで上位3社(1位フィアット、2位ワーゲン、3位シボレー)に対し、日系3社(7位トヨタ、8位ホンダ、9位日産)のシェアが上がっている。まだ順位こそ変わらないが、上位3社、日系3社のシェア変遷は13年《56%対10・5%》、14年《54・2%対11・6%》、15年《47・1%対15・3%》となっており、日系メーカーの健闘ぶりが目立っている。
 同部会は《自動車市場の回復時期は2018年以降》と予想し、次回大統領選後に本格化すると総括した。
 千野浩毅〈ちのひろき〉電気電子部会長は、「レアル安・製品値上げ」「不況・失業率上昇」「インフレ・消費者金利上昇」「政局混乱・回復期待後退」の〃四重苦〃が昨年7月頃に起きて、景気が一気に冷え込んだとし、それまで成長株だった電子レンジやエアコンまで落ち込んだと発表した。《16年に環境の改善は望めないが、これ以上の悪化はない》と見ている。
 不況に強いと言われる食品部会だが、藤江太郎部会長は《底堅い食品市場ではあるものの、全体として内食、外食ともに低調》とし、飲料・調味料・スープ共に現状維持か微増と発表した。
 細谷浩司運輸サービス部会長は「引っ越しの荷動きを見る限り、日本人駐在員数は減と予測」、航空旅客業界の15年国際線に関し、合計で旅客が10%増、不況の影響で《日本へのデカセギ需要が徐々に増加》と見ている。IT業界の15年回顧では《新規日本企業進出案件は減少》との報告もあった。年々増加傾向だった携帯電話契約数が昨年ついに減速した。古いタイプの携帯が大きく落ち込んだことが影響したが、スマートフォン販売台数は堅調で、全体比率の9割近くを占めるに至っている。
 藤井健建設不動産部会長は、「ゼネコン業界には大変厳しい年になった」「賃貸マンションの賃料がついに下落」「マンション価格が下落、失業率上昇で解約40%」と回顧した。《欧米企業がブラジル企業を買いあさっている今、日本企業によるM&Aがあるか?》《失業率の上昇により、有能な人材が集まっているか》とまとめた。
 経済産業省中南米室長の菅原廣充氏は講評として「ほぼマクロ動向分析の通り。今の大統領が続く限りは政治的が混乱は続き、経済に影響しそうだ」、在伯に本国大使館の小林和昭参事官は「今回5回目のシンポ参加。オリンピック開催年にこれほど景気の悪かった国は他にないのではないか」との感想をのべた。
 本紙の取材に対し、平田藤義事務局長は「シンポの発表内容は2014年後半から悪化しっぱなし」との感想をのべつつ、「その中でも注目すべきはヘルスケアやジカ熱関係(化学)で新市場を切り開いているところもあれば、競合がバタバタと斃れる中で生き残ってむしろ大きくなったところもある点」と強調した。(終わり)