日本、中南米支援を拡充=数千億円の協調融資枠=基盤整備で中国に対抗

 【ワシントン共同】日本政府は19日、有望な市場と期待される中南米地域への支援を拡充する方針を固めた。中南米を対象とする国際金融機関、米州開発銀行(IDB、ポ語では「BID」)との協調融資枠を現在の10億ドル(約1100億円)から数十億ドルに増やすことも視野に、発展の基盤となるインフラ整備を後押しする。国際金融筋が明らかにした。

 中南米には、豊富な地下資源や食料生産を目当てに、中国が経済発展の過程で急接近した。域内最大の経済大国ブラジルは近年、資源価格の低迷などから景気後退にあえいでいるが、日本は中南米の潜在的な成長力は大きいと判断。中国に対抗し影響力拡大を目指す。
 中南米の総人口は約6億人で市場規模は6兆ドルに達する。経済発展に電力供給や物流網が追いついていないため、日本政府はIDBとの協調融資で、再生可能エネルギーによる発電所や道路、鉄道といった基盤を整備し、日本企業も受注できるようにしたい考えだ。
 IDBとの協調融資は、独立行政法人の国際協力機構(JICA)を通じた円借款で実施する。双方は既に、再生可能エネルギーの活用や省エネにつながるインフラ整備を対象とした協調融資に着手している。
 日本政府は、ことしIDBに加盟して40年になるのを機に、現在10億ドルのJICAの融資枠を数倍に拡大し、融資の対象を災害に強いインフラなどにも広げる方向で最終調整している。IDBが4月7~10日にバハマで開く年次総会で、融資の改定計画を表明する。
 国連の試算では、中南米全体のインフラ需要は年間3200億ドルに上る。日本政府は今後、同じくIDBに加盟する中国との需要の奪い合いが激しくなるとみている。