「2年2月」で判決確定=事故発生から10年で終結=湖西市の交通事故死

 2005年に静岡県湖西市で山岡理子ちゃん(当時2歳)が死亡した交通事故で、過失致死の罪に問われたパトリシア・フジモト被告について、連邦司法高等裁判所(STJ)で、禁錮2年2月の一審判決を支持する判決が9日付で確定し、15日付で最終的に訴訟が終結した。同裁のサイトで明らかにされた。
 二審の時効判決に対し、2014年9月に連邦検察庁がSTJに特別上訴を提起し、翌月受理された。約一年後の昨年9月、一審判決を支持する決定をし、被告が異議を申し立てたが、棄却されていた。
 STJの広報によれば、被告側による連邦最高裁判所(STF)への抗告も可能だったが、被告側からは、棄却の判断に対して何の意思表示もなかった。
 また、検察庁の異議申立てのための期限は今月22日とされていたが、それを待たない形で判決が確定したことになる。日本がブラジルに国外犯処罰規定に基づく訴追を求めて審理されていた事件・事故の中で、三件目の判決確定となった。
 禁錮2年2月、6ヶ月の運転免許停止という判決だが、実際には被告は収監されず、禁固刑は1年間の社会奉仕活動に替えられる。
 日伯両国で大きな反響を呼んだ本件は、事故発生から10年5カ月後、ようやく終結をみた。両国の法律に詳しい二宮正人弁護士は、「両国の法律の狭間で、(訴訟終結まで)長い時間がかかったが、ブラジルの司法としては特別な配慮をしたのではないか」との見解を示した上で、「ブラジルにおいて過失致死による収監はあり得ず、日本と異なるが、その量刑の違いが国外犯処罰の限界」と説明した。
 理子ちゃんの両親、山岡宏明・理恵夫妻は次のようなコメントを本紙に寄せた。
      ◎
 やっと、ここまでたどり着いたという感じです。国外犯処罰の手続きをしたときから量刑の差は覚悟をしていました。
現在の状況では仕方ないことだなとあきらめています。
 ただこれで終わりではなく両国の担当者様には今後、更に議論を重ねていただいてその辺りの問題を解決に向けてご尽力いただけたらと思います。
 パトリシアは1年の社会奉仕、さらに裁判所への出頭。ちゃんとやってほしいと切に願います。せめてせめて1年間だけでも自分の犯した罪に向き合って生きて
もらいたい…。
 ここから私もがんばって少し心を切り替えたいと思っています。パトリシアのことは心から消し去ろうと思います。そしてその分も併せて理子のことを想って生きていこうと思います。
 たくさんの方々に本当にご尽力いただきここまでたどりついたこと感謝いたします。