古典芸能に笑いと感嘆=サンパウロ市の寄席公演、盛況に

 サンタクルス病院(石川レナト理事長)主催の寄席公演が17日夜、サンパウロ市ブルーツリーホテル・モルンビーで、18日昼には同市セントロにあるサンパウロ大学(USP)法学部大講堂で行なわれた。
 日本文化庁の後援により招かれたのは、落語家の三笑亭茶楽、紙切り芸人の林家花、太神楽曲芸師の鏡味味千代3氏。モルンビー公演では主に招待客らが来場し、定員の200人で満たされた。
 USP公演には移住者や法学部の学生ら、一般から200人近くが訪れた。公演は笛や太鼓のお囃子で開演。一番手で登場した鏡味さんは「太神楽は千年以上続く、幸福を祈るための伝統芸能」と紹介し、様々な曲芸で楽しませた。定番の傘回しを披露した際は、ひときわ大きな歓声が上がった。
 続いて落語家の茶楽さんが登壇。「扇子や手ぬぐいであらゆる物を表現する。創造力を持って楽しんで」と呼びかけ、渡し舟の上で右往左往する素人船頭の一席を披露した。
 紙切り師の花さんは、舞妓やウサギの餅つき、若い衆が神輿をかつぐ様を短時間で作り上げた。当地向けにとシュートを放つペレなどを披露。観客のリクエストにも応えた。
 サンパウロ市在住の山口サエコさん(83、鹿児島)は「日本からの本物の芸見れて良かった。とても真似出来ない」と感心していた。USP法学部に通う非日系のバルバラ・マットスさん(22)は「初めて見るものばかりだが、とても美しい芸能ばかり。特に髪切りには驚いた」と感想を語った。

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 サンパウロ市2カ所で行なわれた寄席公演。セントロのUSP講堂では一世も多く、若い非日系のUSP学生らも多く来場した。曲芸や紙切りなど視覚的に楽しめるものは、ブラジル人も大いに楽しんだことだろう。ただ落語の時間になると、携帯電話を触る学生や席を立つ者がチラホラ。USP法学部の二宮正人教授が事前にあらすじを紹介したのだが、非日系の反応はいまいち。逐次通訳は不可能だが、字幕があれば、もう少し反応が違ったかも?