大耳小耳

 県連の2015年事業報告書が完成した。1頁目には「県別移民者数」が掲載され、地震を被災して大変なことになっている熊本県を見てみると堂々の第1位、2万3575人が移住している。2位の沖縄県は2万0449人、3位の福岡県は1万9509人となっており、ダントツの多さを誇る。熊本県出身者には上塚周平を始め、サンパウロ州新報の香山六郎社長、サンパウロ新聞の水本家、ロージャ・ニッポン創業者でブラジル力行会元会長だった林寿雄さん、池崎商会の池崎博文さんら多士済々。募集を始めた義捐金にも、そんな郷土との深い絆が反映されるに違いない。
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 知る人ぞ知る沖縄県限定の雑誌『モモト』(糸満市、編集工房・東洋企画)の第25号が送られてきたので見ると、「2016琉球パワー」特集の中に「世界に知らさ沖縄空手」という記事があった。昨年、来伯取材に来ていた女性記者に、良くテレビにも出る保守系論客で有名法律家のイヴェス・ガンドラ・マルチンス氏が若い頃に沖縄空手をやっていたことを弊紙編集部で紹介した。同雑誌の記事を見ていたら、あの後マルチンス氏に実際に取材に行ったよう。地方の雑誌記者だが凄い行動力だと感嘆。それにコロニアですらあまり知られていない当地の沖縄空手教師がズラリ。たがか「地方雑誌」と馬鹿にすることなかれ。
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 東洋人街を歩いていると何処からともなく演歌が聞こえてくることがある。だいたいが県人会館かカラオケ店だ。当地のカラオケ人気を支えているのは、大会参加費の安さのよう。「日本では一回出場すると7千円ほど要するが、当地では25レアルほど」とのこと。ある80代一世女性によれば、「古い演歌が好まれていると思われがちだが、実は最新の演歌事情に敏感」と何かに抗議するように話し、「日本在住の息子から取り寄せている」と畳み込む様に説明した。それにしても、エドゥアルドのようにコロニアから日本へ行ってプロ歌手を目指す者はいても、ブラジル歌謡界を目指す人がいないのはなぜ?