ホーム | 連載 | 2016年 | 県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱 | 県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱=第22回=米空軍基地あったナタル

県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱=第22回=米空軍基地あったナタル

 3月15日午前、一行は最後の目的地、北大河州の州都ナタルに向けて出発した。市内観光の時、地元ガイドが戦中の興味深い歴史を語った。
 第2次世界大戦で伯国は連合軍に入り、ヴァルガス政権はこの町に米空軍基地を作ることを許した。世界地図を見たら一目瞭然だが、大西洋を渡るのに一番距離が短いのは、ナタルからリベリアで3千キロ程度しかない。これがニューヨークからロンドンなら5600キロだ。
 歴史サイト(guiadoestudante.abril.com.br/aventuras-historia)を見ると、同基地には約1万人の米兵が常駐し、毎日800回もの離着陸が繰り返された。その後、大西洋を越えてセネガル、トーゴー、リベリア、さらに欧州にまで爆撃に向かった。
 つまり、アフリカ方面ににらみを利かす要衝基地として、最も大西洋に突き出たこの地域は絶好の場所だった。当時の主力爆撃機B―17などは航続距離が5千キロと短く、米国南部マイアミを出発した後、ポルト・リッコ、トニダード、ベレン・ド・パラーを経由して、ようやくナタル郊外の「パルナミリン・フィールド」基地に着く有様だった。
 その結果、たくさんの米軍兵士が駐留し、売春宿が大繁盛したという。彼らが休暇を楽しんだ海岸(地元ではプライア・アレイア・プレッタ)が、米国人の中では「プライア・マイアミ」と有名になった。米兵が地元住民を呼んで一緒にフェスタを度々開催した時、告知ビラには「For All」(全員のために)と必ず書かれていた。そのため、そこで演奏される米国音楽から影響を受けたダンス音楽が生まれ、ポ語式に訛って「フォホー」となって今に伝わっている。
 そんな経緯から、ブラジルで最初にコカ・コーラの工場ができたのもナタルだという。北東伯は米軍にとって世界戦略の一大拠点だった。

 そんなに米軍の影響が強い町ナタルから北西に400キロあまりの隣の州都フォルタレーザに、ただ一人の住んでいた日本人が藤田十作だった訳だ。彼の家族が地元住民によって略奪を受けたのは、米軍基地という無言の圧力があったことも背景にあったに違いない。
   ☆   ☆ 

青木イサシ会長

青木イサシ会長

W杯で高円宮妃が来られた時の歓迎の様子

W杯で高円宮妃が来られた時の歓迎の様子

 3月15日の夜7時半、州都ナタルで日系人が所有する多目的施設「エスパッソ・ギンザ」で親睦会が開かれた。北大河州日伯文化協会(ACNB)の青木イサシ・ミウトン会長(72、二世)に話を聞くと、サッカーW杯(14年)の高円宮妃ご来伯時もこの会場で歓迎会をした。「とてもシンパチカ(親しみやすい)で開放的な雰囲気の方だった。生まれて初めて皇室の方と握手をした。一生忘れない」と思い出す。

 青木会長は聖州ノロエステ沿線、アラサツーバ近くのブラウナ市出身だ。ノロエステ線で「青木家」と聞き、隠れキリシタンの里として有名な福岡県大刀洗今村出身者の子孫だとピンときた。故平田ジョン進下議の出た「平田家」に加え、「青木家」は隠れキリシタンの家系の双璧だ。聖市にもたくさんいる青木一族が、北東伯にも広がっている。(つづく、深沢正雪記者)

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • ブラジリア=W杯スタジアム改修で汚職疑惑=水増し請求で工費が倍以上に2017年5月24日 ブラジリア=W杯スタジアム改修で汚職疑惑=水増し請求で工費が倍以上に  連邦警察は23日、ブラジリアのW杯スタジアム改修における経費水増し請求疑惑で、連邦直轄区元知事らを対象とするパナテナイコ作戦を決行したと同日付現地紙・サイトが報じた。  同作戦では逮捕令状10件、家宅捜索・押収令状15件、強制出頭令状3件が出され、ジョゼ・アルーダ元 […]
  • 県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱=(第27回、最終回)=国内線で日語アナウンスの快挙2016年5月17日 県連故郷巡り(北東伯編)=歴史の玉手箱=(第27回、最終回)=国内線で日語アナウンスの快挙  空港に向かうバスを待つホテルのロビーで、一行の山中タツミさん(86、愛媛県)=聖州カンピーナス市在住=に今回の旅の感想を聞くと、「カピトン・フジタの別荘でやった、マンガの木の下でやった慰霊ミサが一番よかったね。感じが良かった。味わい深かった」という。 タツミさんの夫は終戦時に […]
  • 元代表選手が日本企業と設立=サッカー選手育成センター=大クラブで活躍する人材育てる2019年8月1日 元代表選手が日本企業と設立=サッカー選手育成センター=大クラブで活躍する人材育てる  スカイライトコンサルティング株式会社(本社=東京都港区、羽物俊樹代表取締役)は、サッカー元伯国代表のエジミウソン・ジョゼ・ゴメス・モラエス氏と共同で設立した「スカイライト・ファイブ・コンスウトリア・エスポルチバ・ブラジル(SFCB)有限会社」を通して、プロサッカー選手 […]
  • 日伯サッカーのスター集結=「日本、50年までにW杯優勝を」=JHでトークショー2019年7月11日 日伯サッカーのスター集結=「日本、50年までにW杯優勝を」=JHでトークショー  コパ・アメリカの真っ最中、在サンパウロ日本国総領事館(野口泰総領事)はトークショー「元サッカー選手、監督が語る日伯サッカーの魅力」を6月26日、サンパウロ市のジャパン・ハウス(JH)で開催した。元ブラジル代表で元Jリーガーのワシントン・ステカネロ・セルケイラ氏、セレッ […]
  • 日本政府はもっと日本祭りに支援すべきでは2019年7月9日 日本政府はもっと日本祭りに支援すべきでは  県連日本祭りの裏方である県連執行部はもちろん、ボランティアとして働いた各県人会の役員や婦人部、青年部、それぞれのブースで働いた皆さんに、今年も心から「お疲れさま!」と言いたい。  本国以外では世界最大規模の日本祭りにして、昨年は眞子内親王殿下をお迎えして移民110周 […]