海外で世界初、本荘追分大会=日本王者、市長ら10人来伯=「日本の民謡界で話題に」

 若手民謡グループ「民」らの主催で、初の『本荘追分ブラジル大会』が22日午前9時から、サンパウロ市の秋田会館(Av. Lins de Vasconcelos, 3390, Vila Mariana、メトロのビラ・マリアナ駅から徒歩1分)で開催される。このために母県から由利本荘の長谷部誠市長、鈴木和夫市議会議長ほか本荘追分保存会の佐林公善会長、第32回全日本大会の王者・三浦九十九さんら10人が20日に来伯し、大会の意義などを語った。

 長谷部市長は「海外初開催が実現でき、市としても嬉しい限り。この大会は来年、再来年と続けていく。これを契機に、ブラジルと由利本荘のつながりがさらに深まれば」と期待を見せた。
 鈴木議長は「ブラジルと日本は非常に近い関係を持っている。その距離を縮める大切な事業」と意義を説明する。
 佐林会長も「本荘追分大会が海外初開催されると、日本の民謡界で話題になっているのでは」と破顔一笑。「本荘追分は元々、港町で歌われていた座敷唄で、裏拍子から入るなど独特の節回しがある」などと技術的な難しさを解説した。
 22年間歌い続ける加藤五郎さん(古里民謡ふれあいクラブ)は「実は15歳の頃、コチア青年として渡伯する計画があったが、事情ができて叶わなかった」と打ち明けた。「今大会のおかげで念願のブラジルに来ることができ、70年越しの夢を果たせた」と笑顔を浮かべた。
 今大会で審査員を務める第32回本荘追分全国大会(昨年)の王者、三浦さんは本荘追分の魅力を「その土地の生活感を味わえるリズムがある」と奥深さを語る。
 同席した秋田県人会の川合昭会長は、「秋田には久保田節など、難しい民謡がたくさんある。本荘追分の難易度は、その秋田民謡の中でも5指に入る」と話した。大会実現の裏方を務めてきた同市出身の伊藤武さんも「この日のために尽力してきた。とても嬉しい」と笑顔を浮かべた。
 今大会には8~88歳まで約60人が参加、パラナやミナスなど遠方からの参加もあるという。優勝者は8月、第33回本荘追分全国大会(同市)へ、ブラジル代表として派遣される。

□関連コラム□大耳小耳

 海外初開催となる『本荘追分ブラジル大会』。川合会長によると「民謡で鍛えることにより、演歌も上手くなる」という。細川たかしや藤あや子など民謡出身の歌手が多いのはこのせいだとか。カラオケが盛んなコロニア社会だが、自慢のノドをさらに鍛えるために、来年の民謡大会に向けて練習に参加するのもいいかも。
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 本荘追分関係者によれば、YOSAKOIソーラン同様に、「新本荘追分」という新しいスタイルが生まれ、高校生などの若者にも広がっているという。しかも、この新本荘追分はサンバのリズムを取り入れており、「ブラジルにぴったり。それを入り口として、本来の本荘追分にも挑戦してもらえれば」とは同関係者の言。これから当地は盆踊りの季節。その時に踊る若者向けの「マツリダンス」の曲目に取り入れて、本荘追分を全伯に広めたら?