ペルー大統領選、接戦続く=フジモリ氏の勢いに陰り

 【リマ共同】歴史的な大接戦となったペルー大統領選決選投票は8日、選挙管理当局が発表した中間集計(開票率99・38%)で、クチンスキ元首相(77)の得票率が50・15%、ケイコ・フジモリ氏(41)が49・85%となった。
 票差は約5万と依然僅差で勝敗が決まらない状況が続いたが、クチンスキ氏がわずかにリードを広げる局面もあり、6~7日に差を縮めて追い上げてきたフジモリ氏の勢いにやや陰りが見えた。
 集計作業が本格化している在外票はクチンスキ氏が優勢と報じられており、勝敗の鍵になりそうだ。国外の有権者は約88万5千人で、全有権者の約3・9%。
 また、全国の投票所から首都リマの選管当局に送られる集計表の不備や疑問票を巡る審査も行われており、審査の対象は最大で35万票に上る。このため選管当局によると、集計が終わるのは今週末になる見通しだ。
 リマの選管当局の建物近くでは7日夜、フジモリ氏とクチンスキ氏の支持者数百人ずつが集まり、それぞれの支持する候補の勝利を主張してデモを行った。
 地元メディアによると、クチンスキ氏は7日、リマで報道陣に対し、自身が優位という結果は覆らないとの見方を示す一方で「公式な判断を待たなければならない」と慎重な姿勢を見せた。

高山やアマゾン、集計難航=ペルー大統領選開票4日目

 【リマ共同】5日に投票されたペルー大統領選決選投票は「歴史的な接戦」(地元メディア)となり、開票作業は4日目の8日も続いた。クチンスキ元首相(77)とケイコ・フジモリ氏(41)の支持拮抗に加え、アンデス山脈やアマゾン源流域を抱える広大な国土はインフラ整備が遅れ、全土から首都リマの選挙管理当局に集計記録を集めるのに時間がかかった。
 選管は公式集計を冷静に待つよう呼び掛けてきたが、選管近くでは7日、双方の支持者が結果を待ち切れずにデモをして騒然となった。ペルーでは、国外を含む投票所がまとめた集計記録の実物をリマに集めて正式に計上する。過去に起きた不正集計を避けるためだ。
 小舟でしか行き来できないアマゾン川の源流域や、険しいアンデスの山間地から集めるのは時間がかかる。左翼ゲリラの残党が活動する地域では安全上の理由からヘリコプターで運ぶが、天候不順のために遅れたケースもあったという。
 開票が始まった5日夜の選管発表はクチンスキ氏のリードが大きめに出たが、フジモリ氏の支持者が多い農村部の集計が進んだとみられる6~7日は差が徐々に縮んだ。しかし、7日午後からクチンスキ氏が優勢とされる在外投票の結果が本格的に加算され始めたためか、フジモリ氏の追い上げのペースが落ちた。在外票の記録が全て集まるのは9日だという。