前代未聞、人力車で世界一周?!=リオ五輪から観客輸送を開始=夢と人を乗せ4年後に東京へ

 ブラジル埼玉県人会に2日、日本からびっくり仰天の一大企画が舞い込んだ。その名も「2020年東京五輪プロジェクト『俥夫(しゃふ)の世界一周の挑戦』」。発案は東京・浅草で観光人力車を引く田中喬祐さん(23、埼玉県)で、リオから東京へ文字通り人力車で世界を一周するというもの。リオ五輪での出張サービスをきっかけに、仲間と目指すは2020年8月、東京での五輪開幕式だ。

 埼玉在住の田中さんは今年、芝浦工業大学を卒業。4年ほど前から浅草で観光客向けに人力車を引いている。リオ五輪の開催に合わせ、人力車の出張サービスを企画。競技の拠点となるバーラ・ダ・チジュッカ地区で実際に、観客を運ぶ計画を立ち上げた。
 動機としては「世界中のメディアも集まっているところで、日本文化を発信しながら走らせたい。それによって日本からの観客や現地の日本人、そして若者に勇気や刺激を与えたい」。
 最寄りのバス停から会場までの移動を無償サポートする。実施は8月10~18日。治安を鑑み正午から午後3時まで。一日の目標は子ども、高齢者を中心に30人とした。
 田中さん自身は3~23日に滞伯する。その他、賛同した100人の若者から、志の高い20人が選抜され、現地を訪れることが決まっている。大学生を始め、昨年のミラノ万博に関わった栄養士、スタイリスト、起業家、トレーナーなど様々な人材で構成されているという。
 企画書によれば、総経費は約1千万円ながら、「飛行機代、滞在費すべて実費で支払済みです」と気合は充分。期間中は日本食、折り紙など文化発信イベント、薬学生によるリオ五輪の環境問題調査なども行なう方向だ。
 このリオ五輪での出張サービスはプロジェクトの一端に過ぎない。「私は一旦帰国し人力車仲間にバトンを渡す。東京五輪に向けて9月、中国・大連から世界一周して日本へ帰ってくる予定です」。別のグループを組織して4年後、各地を分担して東京を目指す。
 「国によっては人を乗せられるところと、乗せることのできない場所があるため、柔軟に対応していく。大人と若者が協力し、64年大会を超えるような東京五輪を一緒に作りたい」と意気込みを寄せた。

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 リオ五輪の出張サービスを皮切りに、4年後の東京五輪へ向け、世界一周企画を打ち立てた田中喬祐さん。人力車文化の幅広い発信にも意気込んでおり、五輪版のジャパンハウスとの連携も視野に入れているよう。「施設を訪問する外国人関係者を玄関まで運ぶ」という構想もあるようだ。同館を訪れる世界のVIPも、わざわざ日本から運び込んだ人力車の〃おもてなし精神〃に驚くこと請け合い?!