【2016年移民の日特集号】「日本移民の日」を記念して=在サンパウロ日本国総領事 中前隆博

中前隆博在サンパウロ日本国総領事

中前隆博在サンパウロ日本国総領事

 「日本移民の日」を迎えるにあたり、心からお慶び申し上げます。
 昨年6月に着任以来、約一年に亘るサンパウロでの勤務のなかで、ブラジルと日本の間に存在する絆の深さ、ブラジル社会の日系人に対する深い信頼と敬意を強く感じています。ブラジルと日本の友好関係が長年維持されているのは、ひとえに日系社会の皆様方が得られた信頼と敬意によるものと考えます。
 108年前、第一回笠戸丸に乗船した日本人移住者の方々がサントス港に降り立って以来、ブラジル各地において、厳しい環境の中、生活の基盤をつくってこられた先達の御営為は、日系社会の維持と発展のためはもちろんのこと、いつの時代もブラジル社会に大きな影響を与え、ブラジル国民を魅了し続けてきました。
 ブラジルの食卓を豊かにした農作物、あるいは、礼儀や躾の日本的作法を有する武道などのブラジル社会への普及は日伯友好の証であります。
 昨年の日本ブラジル外交関係樹立120周年の祝祭もこの礎の上に行われたものであり、数多くの記念行事を通じて、政治・経済・文化・スポーツの各分野で皆様方の御尽力が思い起こされました。特に、秋篠宮同妃両殿下がブラジル御訪問され、各地において日系社会の皆様、ブラジルの官民の方々と友好親善を深められたことは、まことに意義深いものでありました。
 本年は南米大陸で初となるオリンピック・パラリンピック夏季大会がリオデジャネイロで開催され、次回は2020年に東京で開催されることから、今回のオリンピック・パラリンピックを機に、スポーツを通じた両国交流の一層の促進が期待されています。
 また、2017年3月には、サンパウロにジャパン・ハウスの開設が予定されており、さらなる日伯友好の絆が強まることが期待されています。私共も、両国のさらなる相互理解が深化されることを目指して、日系社会の皆様方と一体となって取り組んでいきたいと思っております。
 結びに、改めて先人のご遺徳を偲び、皆様方お一人おひとりのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げると共に、日系社会の益々のご発展を願い、ご挨拶とさせていただきます。