第60回パウリスタ・スポーツ賞=今年も華々しく授与式=18種目から23人受賞=98歳現役ゴルファーも特別賞

 節目の〃還暦〃60周年を迎えた「パウリスタ・スポーツ賞」の贈呈式(ニッケイ新聞主催、高木ラウル社長)が、16日午後7時よりサンパウロ市議会の貴賓室で華々しく開催された。同贈呈式では柔道やゴルフ、空手など18種目と特別賞五つを含む23人(団体)が受賞し、会場には受賞者の家族や友人、約200人が駆けつけ、会場は受賞者の功績に盛り上がった。

 来賓挨拶、国歌斉唱、スポーツ選手や功労者の先亡者への黙祷の後、受賞者は出席者が見つめる中、各スポーツ団体代表者と来賓から記念プレートを手渡された。名前が呼ばれるたびに大きな拍手が沸き起こり、受賞者もそれに応え、笑顔で受け取った。
 ゴルフへの愛情を評価され、特別賞を受賞した最年長ゴルファーの西井良雄さん(98、大阪府出身)=パラナ州クリチーバ市在住=は、なんと80歳でゴルフを始め、現在も家族と一緒に続けている。
 「皆さんのご支援でゴルフが出来ます。特別賞を頂いて感謝しています」と喜んだ。3年前に団体で練習中にホールインワンを決めたことと、ロサンゼルスの世界大会に出場したことがゴルフ人生で最高の想い出だそう。「家内とまわるゴルフが一番楽しい。来年99歳になっても、ゴルフを続けて生きたいです」とはにかんだ。
 空手部門の高松浩セルジオさん(50、二世)は日本留学中、外国人で初めて全日本空手連盟で4段を取得した。「受賞出来て本当に嬉しいです。空手をやっていて嬉しかったのは、黒帯を取ったときと、日本で開催された世界大会に出場して日本人に勝ったときです。これからも空手の先生として子供たちに空手を教えていきたいです。空手を通じて礼儀正しさを身につけ、人の役に立つ人になり、ちゃんとした人生を送ってほしい」と真剣に語った。
 式後には懇親会が開かれ、家族や受賞者同士で喜びを分かち合い、受賞の余韻に浸った。
 本賞は終戦後に勝ち負け抗争で二分したコロニアを、スポーツ振興を通じて融和させることを目的にパウリスタ新聞によって1957年に創設された。吸収合併後もニッケイ新聞が引き継いでいる。
 来賓としては斉藤準一元空軍総司令官をはじめ、野村アウレリオ市議、関口ひとみ在聖首席領事、下本八郎元州議、羽藤ジョージ州議、中富瑤介副領事、各日系団体代表者らが登壇した。
 高木社長は祝辞で「今回は60周年、今までこの伝統的な賞をつづけてこられたのは受賞した選手たち、関係者のおかげ。今回の受賞者たちの功績を称え、また感謝する」と述べた。
 野村市議も「全ての選手、功績に誇りを感じている。今の混乱したブラジル政治の建て直しに日系人は大きな貢献ができるはず。特に競技にひたむきに向き合う精神は見習うべきである」と受賞者を称えた。

今年もスポーツ賞一家=剣道で林家が親子受賞

林さん一家

林さん一家

 剣道部門で受賞した林ユキオ・オスカルさん(49、三世)は、同じく剣道部門で92年に受賞した林義宣さん(77歳、二世)を父に持つ。また、叔母に当たる林美代子さん(49歳、三世)も陸上部門で81年に受賞している。
 オスカルさんは自身の世界大会出場経験だけでなく指導者、審判としても経験豊富。現在、ブラジル剣道連盟審判理事長を務めている。13年にロシアで開催された「コンバット・ゲーム」という、3年ごとに開催される世界武道・格闘技大会で剣道審判を務めた。
 また15年にも第16回日本剣道世界大会に審判として参加した。剣道の指導だけではなく、02~14年の間、モジ市にあるブラス・クーバス大学の歯学科教授も務めるなど、文武両道を実践している。
 オスカルさんは受賞に関し、「これまでの努力が報われた思いだ。剣道連盟に感謝したい。今後は、小さな子供たちに剣道を教えていきたい」と感謝の意を表した。
 また、親子でパウリスタ・スポーツ賞を受賞したことについて聞くと、「素敵なことですね」と笑い、「私の息子、娘たちも剣道をやっています。日本で開催された大会に出たこともありますよ。娘は全伯大会で3年連続、優勝した経歴もありますし、息子も3段を取得しました。これからが楽しみです」と嬉しそうに語った。
 義宣さんは息子オスカルさんの受賞、一家で3人の受賞者が出たことについて「今年はたくさんの人がもらっていますね。私が受賞したときはこの半分でした。この賞の歴史を感じます。息子は世界大会でも審判として活躍していて、父としても誇りを感じます。これからもがんばってほしい。孫たちの活躍も楽しみです」と語った。

柔道で人づくり教育を=「混乱した国を変える」

ハラダ・ミチオ・ロベルトさん

ハラダ・ミチオ・ロベルトさん

 贈呈式で受賞者を代表して返礼の挨拶をしたハラダ・ミチオ・ロベルトさん(69歳、二世)=南麻州カンポ・グランデ市在住=は、小さい頃に母に勧められ柔道を始めた。
 これは1988年のソウル五輪に向け、選抜した8人を特訓させたプロジェクト「8 para 88」では主催者兼指導者を務めるなど貢献した。その結果、ソウル五輪でブラジル柔道は夢の金メダルを獲得した。
 「60周年という記念すべき年に受賞できたことはとても素晴らしいことです。もちろん賞やメダルを頂くことは嬉しいことですが、これからも指導者として柔道哲学を大切に教えていかなければならない」と語り、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎の精神を強調した。
 「今のブラジル、そしてブラジル人の子供たちには『人間づくり』という教育が必要だ。こんな混乱の中ではすぐに大事なことを見失ってします。柔道的教えを通し、国を変えていく。体と精神を作ることで色々なことから身を守ることが出来る」と熱く語った。

 

 

スポーツを通じて社会に貢献する23人を表彰

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