リオ五輪マラソン女子=日の丸手に「がんばれ!」=日系人ら100人以上が集結=仏ニーステロで中止検討も

 【リオ発=小倉祐貴記者】リオ市内で日の丸が踊った――。五輪女子マラソンが14日午前、サンボードロモを発着とする市内コースで行なわれたときだ。街頭には、普段見ることのない日の丸を手にした日系人や親日ブラジル人が100人以上も集まり、日本代表3選手に向け、一体となって「がんばれ!」と大声援を送った。

福士加代子選手(後方から2人目)にもエールを届けた

福士加代子選手(後方から2人目)にもエールを届けた

 14日の女子マラソンを街頭から応援しようと、市内在住の日系人が在リオ総領事館(フラメンゴ区)から程近い海沿いの通りに、大勢が集った。呼びかけたのはリオ州日伯文化体育連盟だ。五輪開催地の日系統括団体の長として鹿田明義理事長は、「何がなんでも絶対にやると決めていた!」と気合の入った言葉を吐く。
 とはいえ、先月発生したフランス・ニースでのテロ事件を機に、中止も検討されていた。実際、日本からの訪問者を支援する官民一体の連絡協議会は、安全を第一に街頭応援の呼びかけを辞めた。
 ただ当日は、有志だけで総勢100人以上が駆けつけた。「日本を応援したいという強い思いの人ばかり」。辺りを見渡し、呼びかけ人の鹿田理事長は微笑んだ。
 この日のリオは真夏のような炎天下。最高気温は30度を越え、路面を走る選手の体感温度はさらに高い。選手同様、集った日系人も汗をぬぐいながら、必死に日の丸を振った。日本からの応援団や総領事館関係者、駐在員、非日系も一緒になって応援した。
 日章旗を手に興奮冷めやらない様子の宮本メリーさん(72、二世)は、「みんなで日本を応援しようと思った」と語りながら、玉のような額の汗をぬぐった。栗原謙一郎さん(68、三世)も通過した日本人選手の背中を見つめながら、「あっという間に通り過ぎてしまった。でも『がんばれ』って大声を出したよ」とさわやかな笑顔がはじけた。
 競技結果だけをみれば、日本人選手の成績はさほど振るわなかった。だが、山元毅在リオ総領事が「選手たちには励みになったはず」と言う通り、暑さを吹き飛ばすような街頭の声援がランナーには届いただろう。
 地球の反対側にも、これだけの日本の応援団がいることが、鹿田理事長を筆頭とするリオ日系団体の有志のおかげで、きっと伝わったはずだ。

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 14日に行なわれたリオ五輪の女子マラソン。鈴木大地スポーツ庁長官も街頭から声援を送ったというが、日本勢は福士加代子が14位、田中智美が19位、伊藤舞は46位に沈んだ。ただ街頭に集った観衆からは、国籍の違う選手にも温かい声援が。下位の走者はそんな歓声に投げキッスで応える場面もあり、当地らしい友好的な雰囲気が現場に広がった。ちなみに男子は最終日の21日(日)午前9時半に号砲が鳴らされる。