現地や会館で五輪選手を応援=山口県人会、日帰り強行軍=「声援届いた」参加者に笑み

 山口県人会(要田武会長)は9日、郷土出身選手へ現地の声援を届けようと、リオ五輪応援ツアーを実施した。日帰りという強行軍にも関わらず、参加したのは総勢20人。加えて、岩手県人会(千田曠暁会長)ではサンパウロ市の同会館で12日、母県からリオ五輪男子20キロ競歩に出場する高橋英輝選手(23、岩手)を応援するため、観戦会を開いた。

岩手会館で選手を応援する観戦者

岩手会館で選手を応援する観戦者

 山口県人会では、郷土から卓球女子日本代表になった石川佳純選手(23)の個人戦を応援に9日、リオを訪れた。青年部らが発案し、5月頃にから「観戦に行こう」との声が内々で上がっていたという。
 というのも、1年前に山口県でリオ五輪に関するセミナーが行なわれ、アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ駐日大使が講演をした際、県人会からも要田会長、伊藤紀美子事務局長が出席した。そのような縁もあり、会全体で関心が高まっていたという。
 最高齢89歳を乗せた貸切りバスは9日深夜サンパウロ市を出発し、午前10時には「石川選手がんばれ! ブラジル山口県人会」と書かれた横断幕を手に五輪会場へ。ただし、肝心の石川選手は7日の初戦で姿を消してしまっていた。残念がる参加者も多かったが、気持ちを切り替え、もう一人のエース、福原愛選手(27)の応援に張り切った。
 横断幕の「石川選手」の上には急きょ「日本」の文字をかぶせた。熱烈な声援に応えるように、福原選手はシンガポールの選手を4―0と圧倒。参加者は勝利を見届けることができた。参加した中尾契信さん(67、山口県)は、「私たちの横断幕に気付いたのか、愛ちゃんはこっちを見て一礼してくれた。声援が届いた」と笑顔。「他県人会も応援に行けばよかったのに」とも話した。
 会場では河村建夫衆議とも再会した。同衆議は日本卓球協会副会長を務める関係で、観戦に訪れていた。同衆議とは、つい2日前にサンパウロ市の会館で交流したばかり。いわば〃アミーゴ〃だ。「この間はありがとう」と気軽に声をかけられ、つかの間の会話を楽しんだ。
 またパラリンピック最終日にあたる来月18日には、視覚障害者マラソンに出場するメダル候補者、道下美里選手(39)の応援にも訪れる予定だ。

岩手県人会「高橋選手頑張れ!」

写真=岩手会館で選手を応援する観戦者

 岩手県人会は12日、母県からリオ五輪男子20キロ競歩に出場した高橋英輝選手(23、岩手)を応援するため、サンパウロ市の同会館に県人を中心とする約30人が集まった。
 午後2時から始まった応援観戦会では、日伯両国旗を手に「がんばれ、ニッポン!」と大きなエールを送る場面も。中盤までトップ集団にいた高橋選手だったが、終盤徐々に追い上げられ、42位でゴールを迎えると、残念がる声が相次いだ。
 観戦後には、蕎麦などが振舞われ、和気あいあいとした雰囲気の中、参加者は五輪の余韻に浸った。開会式から五輪観戦を楽しんでいるという竹中ふみ代さん(70、大阪)は、「選手の喜ぶ姿を見たかったので残念。でも、とても和やかな雰囲気で、皆で応援できて楽しかった」と喜びの笑顔を浮かべた。

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 日帰りという弾丸日程ながら、リオ五輪卓球の観戦に向かった山口県人会。お目当ての石川佳純選手敗退は不運だったが、河村建夫衆議との再会もあり、交友を温めるなど目に見える成果があった。事務局曰く、「チケットを買ってバスを貸しきるだけの、実は単純な作業」と一言。それなら、他の日系団体も行けそう。パラリンピックの機会に、リオ見物をかねて企画してみたら? その際は、ぜひ編集部にも一報を。