東西南北

 労働者党(PT)の大敗に終わった今回の統一市長選だが、本日付本頁作成上、不都合な事態が起きた。報道写真の無料貸し出しを行う主要サイト二つが2日の市長選を報じた写真をほとんど載せておらず、あっても投票場の一般市民の様子などを写したものか、ハダジ・サンパウロ市市長らPTの政治家を写したものだけだったからだ。3日付サンパウロ州発刊紙のほぼ全てで一面を飾ったジョアン・ドリア氏の祝勝会を写したものなどゼロ。この傾向は以前からあったが、国政で政権が変わってもPT寄りの判断を行うところはあるようだ。今回の投票結果は、今後はそれが通用しないことを示したようにも思えるのだが。
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 今回の選挙は散々だったPTだが、唯一気を吐いたのがエドゥアルド・スプリシー元上議で、過去のサンパウロ市市議会選の最高得票の新記録を更新し、堂々のトップ当選を果たした。スプリシー氏は特に汚職の噂もなく、ホームレスの不法侵入住宅接収の現場に飛び込み、軍警に手足を取られ、強制退場させられるまで体を張って反対するという、70歳過ぎとは思えぬ行動力が人気の秘訣だ。PTが失った何かを彼に見る人が多いのでは。
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 今回の地方選の棄権者は、全国で2533万431人いた。これは全有権者の17・58%にあたり、08年の14・5%や12年の16・41%を上回った。棄権率が30%を超えた9市中6市はミナス州だった。14年の統一選は20%弱で、全体的に地方選の方が投票率は良い。棄権率の高さは国民の政治不信が高まっている証拠でもある。18年の大統領選ではどうなるか。