東西南北

 12日はブラジルの守護神「聖母アパレシーダの日」だった。例年のごとく、今年もサンパウロ州東部アパレシーダ大聖堂にあるノッサ・セニョーラ像に今年も多くの信者、公式発表によると15万人がつめかけた。今年は特に失業率が高かったことから、身内の再就職が実現することを願う人が多かったという。世の中の空気が暗ければ暗いほど、こうした「神にもすがりたい」タイプの行事には人が集まりやすい。このような必死に願いを賭けたい人が少なくなる状態というのが、本来なら最も理想的なのだが・・・。
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 13日、ノーベル文学賞をアメリカの伝説的フォーク歌手。ボブ・ディランが受賞した。団塊の世代が世界的に社会に怒っていた頃、彼の歌詞を精神的な支えにした人も少なくない。「ディランの受賞がありなら、彼にもチャンスがあるのでは」とシコ・ブアルキを思い浮かべたブラジル人も少なくないのでは。ブラジルが軍政時代に言葉で巧みに抵抗した名曲を生み、小説、戯曲も多く手がけ、ポルトガル語文学賞のジャブチ賞の受賞者でもある。ブラジル文学界も推薦してみる価値はあるのでは。
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 12日付本紙でも報じた、サッカーのセレソンのウィリアンの母親、ゼゼーさんが入院先のサンパウロ市の病院で脳腫瘍のために12日に亡くなった。今回のW杯南米予選では見舞いにもかけつけたウィリアンだが、回復の願いはかなわなかった。11日の対ベネズエラ戦で決めた彼のダメ押しのゴールがゼゼーさんに届いていたことを願いたい。