文協ビル=改修中の地下サロン一旦稼動へ=明日開幕の美術展で一般公開=新玄関は未完、不足額80万レ

金子さんらプロの芸術家によって文化空間が創作された

金子さんらプロの芸術家によって文化空間が創作された

 どことなく薄暗い印象だった文協ビルの地下スペースが、広々とした目新しいサロンに変わりつつある。文協が進める改修事業、文化空間プロジェクトが一段落つき、22日に開幕する第10回文協総合美術展で、一般向けに本格公開されることになった。完工はまだ先だが、活用を始めルアネー法などで残りの工費を募っていく。

 2015年4月に始まった事業は、かつて援協診療所があった地下1階をサロン(文化ホール)に改装するもの。さらにガルボン街側に玄関を設けることで、史料館へ来客を誘う目的で計画された。総工費は約200万レアルと見積もる。
 ルアネー法によりこれまでに半額相当を獲得。中平マリコさんや、梅田邦夫前大使の声かけから実現したマルシアさんの歌謡ショーの収益も充てられ、改修費捻出に各界から協力を得ていた。
 7月に行なわれたマルシアさんの公演では約3万2千レ、中平さんのコンサートでは約5万レアルを集めた。残す工事費は80万レほどとなっている。
 現在は診療所の壁が全て取り壊され、白を基調としたサロンが完成している。広さは大講堂前のサロンと同等。獲得予算内での改修とあって玄関口の設置はまだだが、引き続きルアネー法などで工費を募る。
 一般向けのお披露目は、明日開幕する『第10回文協総合美術展』となりそうだ。現代画、具象画、工芸品の3部門に300作品ほどが集まり、地下1階から2階貴賓室までの4フロアで展示される。
 中でも駐車場に直結する地下サロンは、画家の金子謙一さんら国内外のプロ約20人が趣向を凝らし、絵画や造形作品を並べた。金子さんは「明るい雰囲気で来場者を迎えられる。また改修したサロンをどう活用できるか、一つの見本を示せたかも」と期待を膨らませた。
 なお美術展は30日までで、平日正午~午後5時、土日午前10時~午後5時、最終日は午前10時~午後3時。初日の22日午後3時には大講堂で、開会式と優秀作品の表彰が行なわる。各部の金賞受賞者には、日本への往復航空券が贈られる。

中平マリコさんが帰国=「日系社会から勇気貰った」

 公演『第1回さあ~始めよう みんなで手を取り手を結び 文協文化ホールを完成させよう』を終えた中平マリコさんが先月末、帰国あいさつのため来社した。「協力してくれた方を始め、全ての関係者に感謝したい」と思いを語った。
 文協の改修資金を集めるため企画された同イベントは、来場客以外に出演者や運営ボランティアも30レを寄付した。公演では演目が切り替わる際、前後の出演者が5分ずつ共演することで間を空けず、来場客から「初めて見たショーだった」と嬉しい感想を貰ったそうだ。
 中平さんの来伯は13年目となり、日系社会への想いも熱い。「移住者はすごいパワーを持っている」と刺激を受けた様子で、来年3月にもコンサートの開催を希望している。「次は母も一緒に連れてきたい」と笑顔で別れを告げた。

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 文協ビルの地下が芸術品に囲まれ、華やかに彩られている。間部男さんやユーゴさん他、亜国、ポルトガルのプロも空間創作に参加した。作品の設置は文協美術展が閉幕する30日以降も、1週間ほどはそのままの状態が保たれるよう。一度撤収した後は、「次は陶芸作品でも並べようかと思って」というのが文協美術委員長、金子謙一さんの考え。芸術家ならではの空間活用術にアイデアは膨らむ。