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在日ブラジル人=リーマン以降初の増加=犯罪数も激減、離日に歯止め?=共生事業で移住歓迎の自治体も

 日本の在留ブラジル人数が2008年のリーマン・ショック以降、初めて増加に転じている。法務省が今月1日、在留外国人統計を発表した。集計は16年6月時点のもの。ブラジル人は昨年末に比べ3千人ほど増え、合計17万6284人となった。

 この増加は日本側での求人増と、ブラジル国内での汚職捜査や経済不況、大統領罷免といった不安定な情勢が要因と見られる。
 CIATE(国外就労者情報援護センター)の永井康之専務理事は7月の取材に、「求人倍率は高く、理論上は仕事が多い状況」と背景を説明。「大統領罷免に関連して相談件数も2倍になった」とし、デカセギへの関心増を実感している。
 昨年からブラジル人の日本入国者は増えていた(2月17日付け既報)。ただし在留者数だけを見ると14年末で17万5410人に対し、15年末には17万3437人と減少していた。
 それが今年6月の時点で、17万6284人となった。リーマン・ショック以降では初めてで、底打ちとなった可能性がある。
 都道府県別の在日ブラジル人総数を見ると、減少傾向にあった愛知、静岡、群馬などの集住地域で各々増加。特に島根県は直近の3年半連続で増加し、その期間になんと1222人もブラジル人が増えた。
 同県の出雲市では人口減少対策の一環で、多文化共生推進プランを進める。21年までに、定住5年以上の外国人比率を3割以上に引き上げる取り組みだ。地域の好況もあって、外国人が好んで移住する傾向ある。調べてみると、同市内に居住する外国人の内、64%(1756人)をブラジル人が占めていた。
 また警察庁による『来日外国人犯罪の検挙状況』によれれば、15年のブラジル国籍者の検挙数は1410件。過去10年で最も多かった06年の3分の1まで減った。同様に、少年の刑法犯検挙件数も5分の1以下にまで減ったが、外国籍の中では不名誉にも3年連続1位(107件)となっている。
 一部自治体では外国人児童に対する教育環境の整備が進められるも、14年に文科省が行なった調査では、「ポ語を母語とする約8300人の生徒が日本語指導を必要としている」との結果も出た。
 日本語の不慣れを理由に不就学となった生徒が非行に走る事例が多いと見られ、在留ブラジル人数が回復傾向にあっても共生に向けて課題は多い。


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 2015年度統計で入国者が増加していたにも関わらず、居住者が減っていた要因について、在聖総領事館に問合せたところ、「再入国許可を経て入国したものや旅行客が増加したが、それが在留統計に影響を与えるものではなかったのでは」との見方だった。そのほか死亡や帰化、出生などによる増減なども、在留統計に影響を与える因子となっている。
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 在留外国人統計を国別に見ると、中国、韓国・朝鮮、フィリピンに続き伯国が4位。5位はベトナムだが、同国から技能研修による入国者が急騰し、年初に比べ3万人近く増加し、今年6月時点で伯人数にほぼ拮抗した。最盛期には、日本国内で第3勢力だった伯系コミュニティーであったが、このままベトナムに抜かれれば5位に。ちなみに、外国人雇用状況の届出が義務化された07年以降、昨年は過去最高を更新し約91万人。ベトナム人は対前年比で79・9%も増加していた。

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