「悲嘆にくれ町全体が停止」=地元日系団体にも動揺広がる=シャペコエンセ搭乗機墜落事故

シャペコエンセのホーム・コンダスタジアムで冥福を捧げ献花する市民(Foto: Ralph Quevedo Sentinela24h)

シャペコエンセのホーム・コンダスタジアムで冥福を捧げ献花する市民(Foto: Ralph Quevedo Sentinela24h)

 ブラジリア時間29日未明1時過ぎ、創立以来の絶頂期を迎えていたサッカークラブ「シャペコエンセ」の選手やチーム役員ら77人を乗せ、コロンビアのメデリン市で開催されるサッカー南米杯決勝に向かっていたチャーター機が墜落し、71人が死亡する大惨事が起きた。テメル大統領も3日間喪に服すと宣言するなか、本拠地のあるサンタカタリーナ州シャペコ市の日系社会や日本へもその反響が広がっている。

 それというのも、犠牲者の中には日本で指導歴のあるカイオ・ジュニオール監督(元ヴィッセル神戸)はじめ、ケンペス(元セレッソ大阪、ジェフユナイテッド市原・千葉)、クレーベル・サンターナ(元柏レイソル)、アルトゥール・マイア(元川崎フロンターレ)、チエゴ(元京都サンガ)といったJリーグ経験のある選手も在籍していたからだ。
 ヴィッセル神戸の公式サイトでは、11月30日午後に行われた選手、スタッフや関係者全員が列席する会が行なわれ、事故の犠牲者への哀悼の意を表し黙祷が捧げられたと報じた。カイオ氏の突然の訃報に、コーチや選手陣には「信じられない」といった動揺が広がり、追悼のコメントが相次いでいる。
 また、現地の日系社会を束ねるシャペコ日伯協会(会員数約80人)のジンボ・マロ会長(43、二世)は本紙の電話取材に対し、「職場から学校まで、町の全てがとまってしまった。愛する家族を失ったかのように市民は悲嘆にくれている。10年以上暮らしているが、こんなことは初めて」と声を落とした。
 同会からは、会員である2人の医師が負傷者救助のためコロンビアに緊急派遣された。町全体に自粛ムードが漂っており、市主催のクリスマス祝祭も今年は中止になり、その余波で来月同会が企画していた持ち寄りの夕食会も中止となった。「ここまで強くなったチームなのに。今は何も考えられない…」と悔しさを滲ませた。
 シェペコー市に本拠を置く同チームは1973年創設。歴史の浅い新興チームで予算規模も小さいが、リオやサンパウロの名門チームと堂々と渡り合い、全国選手権1部の常連になっていた。南米杯大会には昨年から出場し、チーム史上初の国際大会の栄冠を手にするべく、決勝戦の会場に向かう途中の悲劇だった。

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 1988年10月に設立されたシャペコ日伯協会の目的は、日系同士の親睦を深めること。年に5回の食事会を開催しているという。東日本大震災の時には、会員らが結集して日本食を作って販売し、約5千レアルの義捐金を日本に送金したとか。会員数は80人ほどと多くはないが、微増傾向。会長がまだ43歳と若いことから分かる通り、会員の年齢層も30から60代が中心。「今後は日本語教室も開講する予定がある」とのこと。いずれシャペコエンセが立ち直り、もしクラブ世界一大会に挑戦する日がくれば、多くの市民が日本に応援に行くことになるだろう。その日に備えて、今のうちから日本語の勉強もいいかも。