ジャパン・ハウス=オープンを5月に延期=中身は来年3月頃に発表=県人会と共同事業も?

JHの完成予定図

JHの完成予定図

 日本国外を拠点にした広報文化施設「ジャパン・ハウス」(以下、JH)の運営委員会第4回会合が在聖総領事館で2日に行われ、3月の開設予定が、招待客の日程調整等の理由で5月に延期されたことが発表された。事業の具体的な中身についても「まだ調整中」と明らかにされなかった。ただし「工事は計画通り進んでいる」とし、来年1月を目処に竣工予定。建物内の構造に関する説明が行われた。

会合を終えた関係者ら

会合を終えた関係者ら

 パウリスタ大通り52番のブラデスコ銀行所有ビルの一部分、3階部分までを貸借し、総面積は2496平方メートル。表玄関には「地獄組み」という日本独自の技術を応用して檜を格子状に組み上げたものと、煉瓦に穴を開けて風通しを良くするレシフェの技術「コボゴ」をあわせ、日伯文化の融合が表現される。
 地上階には、内と外が一体と感じられる竜安寺の中庭をイメージした「外土間」、エントランスホールや多目的ホールが設置される。建具には、越後門出の和紙職人・小林康生さんが、和紙と金属の融合を目指して作った襖で仕切られ、イベントの規模によって、自由自在に変幻可能。柔軟性を持たせた設計を目指したという。
 また、日本の書籍などが置かれるマルチメディアルームや日本茶を美味しく味わえるカフェテリア、物販を行う「ポップアップストア」が設置される。ブラジル市場への投入を検討する商品の試験場となるようだ。
 1階には、約100人収容可能なセミナー室を設置。来年には国際交流基金も同建屋に移転し、協力可能な分野では協働してゆく方針。同基金による日本語セミナーなどに利用される。
 そして、2階には多目的ホールのほか、一流の和食を手頃な価格で提供するレストランが入る。竹を植えたテラスでは、外に出てパウリスタ大通りを一望できるという。
 問題はこの建物を使って、どんな事業を繰り広げていくかだ。この事業には、「サンパウロJH独自企画」「3ヵ国で巡回される日本企画」「連携団体との協力企画」「カフェ・レストラン」「物販」の5本柱がある。その具体的な内容はほんの一部しか公表されていない。来年3、4月に実施されるプレイベントで発表される予定。
 日系社会との協力について、中前在聖総領事は「まずJHがどういうものかを見て頂き、納得してもらった上で、時間をかけ一緒に協力してやっていきたい」と語る。
 一緒にやっていく部分に関して「日本の多様な魅力を発信すること」が関係するようだ。たとえば「多様性=地方の魅力発信ということであれば、県人会と協力して、共同事業を行うこともできる。日系社会の事業とは違うものを出すが、その際にどのような連携ができるか。具体的な事業ベースで、協力の在り方を考えたい」と思いを述べた。

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 ジャパン・ハウスの核心事業の一つである「3ヵ国で巡回される日本企画」では、一年に3つの企画がロンドン、ロサンンゼルス、サンパウロの3つの都市を巡回するといい、広く国内外から公募を受付けている。つまりJHの趣旨に合うもので、世界発信に適した展示内容を持つものであれば、「ブラジル発の企画」が巡回展として採用される可能性もあり得るという。ブラジルに根を張り、日本文化の普及に務めてきた日系団体。移民110周年での3都市展示を目標に、いまから企画を練ってみては?