JRパス問題=在外日本人から批判続々=県連、文協が嘆願書送付

 【既報関連】在外日本国籍者は来年4月からジャパン・レールパス(以下JRパス)が使えなくなる問題に関し、ブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)が日本の各関係者に再考を求め嘆願書を提出した。続いてブラジル日本文化福祉協会(呉屋春美会長)も要望書を発送。本紙6面に両方の全文を掲載した。11月30日付け朝日新聞電子版には『JR乗り放題パス購入、在外邦人特例廃止へ 批判の声も』という記事が掲載され、海外在住の日本人の声が取り上げられた。

 山田会長によると、9日に外務省中南米局の高瀬寧局長と在サンパウロ日本国総領事館、13日にJRグループ各社、国土交通省、海外日系人協会に嘆願書を提出した。
 15日の県連代表者会議で嘆願書提出を発表、「JRは各地域等で独立しており、グループ内各社に提出する必要性があった」と説明した。要望のあった署名活動については「利用資格変更が実施されるのは3月31日。期限が短いために時間のかかることは避けたいと考えた」と話した。
 また秋田県人会の川合昭会長も個人で嘆願書を送る意向を発表した。「麻生太郎副総理、菅義偉官房長官、石井啓一国土交通大臣、金田勝年法務大臣に送るつもり。秋田県出身の政治家か、会ったことがある方ばかり。一世として何か行動しなければ」と意気込んだ。
 文協では10日「第151回定期評議委員会」でJRパス問題が議題に上り、文協の「対日本政府機関連絡特別委員会」が具体策を練ることに。実際に同委員会が要望書を作成して22日にJRグループ、石井国土交通大臣宛てに発送した。
 本紙ポ語版「Jornal Nippak」8日付に掲載されたJRパス問題について、二世以降の世代からも反響があった。熊本県人会の田路丸哲治会長(二世、70)は「困るよ!」と一言。「来年4月に『熊本地震お見舞い旅行』を企画している。参加者には一世の日本国籍所有者がおり、また一世の妻も同行する。皆帰郷して喜ぶのに。『おもてなし』はどこにあるのか」と苦い表情で語った。
 「二重国籍者の友人がいる」という清水城さん(三世、33)は「外国に住んでいるのに?」と首を傾げた。「日本に住んでいなければ、日本人でも旅行者。外国人旅行客となにが違うんだ」と不思議がった。
 南アゴスチーニョ・トシオさん(三世、61)は「会社を持つ身としては、JRの儲けが少ないのかと思う。でもこの理由で変更するのは変だ。一世も少数だし使っていいのでは?」と疑問を口にした。
 朝日新聞電子版(11月30日午後4時)のJRパス問題についての記事では、オーストラリア在住日本人の批判の声が掲載されている。