潮目が変わりつつあるブラジル=ブラジル日本商工会議所会頭 松永愛一郎

松永会頭

松永会頭

 新年明けましておめでとうございます。
 先ずはこの場をお借りして、昨年中の当商工会議所(カマラ)の活動への皆様の多大なご支援とご協力に厚く御礼申し上げます。
 さて、昨年はブラジルにとって歴史に残る一年であったと思います。まず南米初のオリンピックとなるリオ五輪がありました。事前の予想を覆して大成功に終わり、ブラジルの底力を実感した次第です。
 一方、ジルマ前大統領の弾劾という大きな出来事もあり、政治が大きく揺れた1年でした。日本との関係においては、リオ五輪閉会式での“安倍マリオ”登場に続き、ブラジル大統領として11年ぶりとなるテメル大統領の訪日がありました。
 日伯関係は歴史的に強い絆で結ばれていますが、こうしたトップ外交を通じて、政治・経済における両国の結びつきが更に強固になっていくことを心から祈っております。
 他方、世界に目を転じると、英国EU離脱、コロンビア和平交渉、そして米国大統領選挙と、世間の予想を覆す出来事が立て続けに起こり、大いに驚かされました。全世界的に不確実性が高まってきていると感じます。
 こうした世界情勢にあって、ブラジルは政権交代により明確な方向性を示しており、またアルゼンチンやペルーなどでも中道右派の新政権が成立するなど、中南米全体として市場経済重視の右派政権への転換トレンドが進んできています。
 こうした流れが加速し、中南米が今後、世界の中でも堅実な成長を遂げる地域となっていくことを大いに期待したいと思います。
 ブラジル経済についても、昨年後半から下げ止まり感が強くなっています。まだ力強い回復とまでは行きませんが、政治の安定やペトロブラスの再建、内向きだったメルコスールの変貌等への市場の期待感も高まっており、まさに今が潮目の変わり目だと考えています。
 ブラジルのビジネス環境も大きく変わり始めており、カマラとしても、税制、労働等の所謂「ブラジルコスト」を是正する為に3年間取り組んできた政策対話活動(AGIR)を更に強化し、カマラ会員企業の声を束ねて、ブラジル当局に対する提言を続けて参ります。引続き会員企業全員が裨益する結果をもたらす様、全力を尽くす所存ですので、潮目の変わり目を逃すことなく、事業の発展にぜひ頑張って頂きたいと思います。
 最後に、皆様が健康で明るく希望に満ちた一年を送ることができますよう祈念して、私の年頭の挨拶とさせて頂きます。