「雨降って地固まった」=鹿児島、新年に新会館で乾杯=気分一新、盛大にお披露目

新会館落成を祝して盃を交わす会員ら

新会館落成を祝して盃を交わす会員ら

 鹿児島県人会(松村滋樹会長)は8日、昨年末にサンパウ市ジャバクアラ区で購入した新会館を祝し、新年祝賀会を開催した。一般会員向けには初めてのお披露目となり、サンパウロ市内外から訪れた50人以上の関係者で賑わった。前会館売却から2年半がかりの紆余曲折を経て、ようやく決定した新居。その間に紛糾したのも、郷土愛の強さゆえのようだ。正月から心機一転、新たなスタートを切る。

プールやシュハスコのできる空間も完備された豪華な新会館

プールやシュハスコのできる空間も完備された豪華な新会館

 松村会長は「昨年は大変な年だった。辞任するかというところまでいった」と心労を振り返った。年末年始の間に引越しを済ませ、新たな気持ちで迎えた新年会だ。
 高級住宅街パカエンブーに構えていた会館を売却したのは2014年4月ごろ。立地の悪さや高額な維持費が理由だった。それ以来、200以上の候補物件を視察しながら、文協ビル内の仮事務所で県人会を運営してきた。物件購入を巡っては議論がもつれ、紛糾する一幕も。昨年10月の臨時総会でようやく新会館が決定した。
 松村会長は「今年は酉年。飛躍の年になるはず」と期待を込め、「新会館の活用アイデアを皆で出し合って、『自分たちの家』にしてほしい」と呼びかけた。
 同会長は当日、新年会に先立って行なわれた役員会で退任する意向を表明。1期2年の任期中は、会館購入に道筋をつけるなど貢献した。3月5日に開催される通常総会で新体制発足となる。
 当日は4期8年務めた園田昭憲前会長も出席。「県人会を思うがゆえに、喧々諤々と議論が行われた。雨降って地固まった」と晴れの日を喜び、乾杯の音頭を取ると薩摩人らしく大いに湧いた。
 およそ135万レアルで購入した新会館の広さは約527平方メートル。宿泊施設も完備され、旧会館同様プールも設置されている豪邸だ。最寄り駅から徒歩10分とやや距離があるが、婦人部などは台所の広さや利便性に大きな魅力を感じている。
 築年数は20年ほどだが、継ぎ足しで改築されてきたため内装は新しい。若い会員らも「結婚式など多角的にイベントで活用したい」と期待感を膨らませる。今後は開けた会館として、誰もが気軽に足を運べるような雰囲気を作る意向だ。
 日当たりや風通し抜群の木造の新会館で、会員持ち寄りの豪勢な食事に舌鼓を打ち、新年会を盛大に祝した。

□関連コラム□大耳小耳

 鹿児島県人会の新会館は、会館と言うよりは、「別荘」というような風情。木造建築で風通しが抜群によく、日当たり良好。プールやシュラスコが楽しめるようなスペースも完備され、若い世代にとっては希望に溢れる家だろう。だが一方で、会館内には広いスペースがなく、大型の記念式典には不向き。仕切られた空間での少人数での催しに適している感じだ。会館の維持費は月々7千レほどかかる見込み。今のところ民謡舞踊の教室が行われることが決まっているが、そのほかは未定。新会館を積極的に活用し、若者が集まる活動を活発化させたいところ。採算の合う施設にするためには、これからが正念場と言えそうだ。