《ブラジル》野村市議「先人の遺産『誠実さ』体現」=パウリスタ・スポーツ賞贈呈式=19種目、23氏が受賞

満悦の表情を見せた受賞者ら(撮影・望月二郎)

満悦の表情を見せた受賞者ら(撮影・望月二郎)

 ニッケイ新聞が主催する『第61回パウリスタ・スポーツ賞』贈呈式が18日午後7時より、サンパウロ市議会貴賓室で行われ、全19種目と特別賞4人を含む23氏に授与された。式典には受賞者の親族や友人ら400人近くが駆けつけ、盛大に執り行われた。終戦後、勝ち負け抗争で二分化されたコロニアを、スポーツ振興を通じて融和させる目的で創設され、今年で61年目を迎えた。

 

 スポーツ界の先人の遺徳を偲んで黙祷が捧げられ、しめやかに開式されると、高木ラウル社長は贈呈式を支えてきた関係者に謝意を述べ、受賞者の功績を称えた。

 野村アウレリオサンパウロ市議をはじめ、中前隆博在聖総領事、山田康夫県連会長、上辻照子文協副会長、州崎順援協副会長、西尾ロベルト義弘宮坂国人財団理事長、菊地義治移民110周年実行委員会委員長など日系主要団体の代表者から記念プレートが贈呈されると、受賞者は固く握手を交わし、顔を綻ばせた。

 祝辞に立った野村サンパウロ市議は、「先駆者は我々に4つの教えを残した。その中でとりわけ重要なのが『誠実さ』だ。残念ながら、我が国にはそれが欠如しているが、ここにいる功労者はまさにその先祖の遺産を体現している」と熱弁を振るい、「今後も精進し続けて欲しい」と激励した。

 また、中前在聖総領事は、リオ五輪におけるブラジル女子柔道金メダル獲得に触れて、「日系社会は、様々なスポーツをブラジルにおいて振興してゆく上で重要な役割を担っている」との認識を示し、20年東京五輪に向けてスポーツ分野で日本政府が行なう国際貢献策『Sport for tomorrow’』に触れ、「スポーツ分野の交流を通じて日伯関係の強化を図りたい」と期待を込めた。

 式典後の懇親会では、受賞者は家族や友人らと抱擁を交わし、喜びを分かち合い、夜遅くまで受賞の余韻に浸った。

 プロのテニス競技者としての活躍や指導者としての功績が認められ受賞した平・ダイエル・ジュンさん(36)は、「突然のことで驚いたが、とても光栄だ。これまでお世話になった方々に感謝したい」と率直に語り、「テニスの指導を通じて、人間を作っていける。プロとしての知見を子供達に伝えていきたいし、貧困のなかでテニスを習うことが出来ない子供達のために基金を設立し、社会の役に立てれば」と期待を膨らませた。