虚子忌、節目の25周年大会=小斉さん3年ぶり総合1位=続いて永田、広瀬、西森氏ら

参加者全員での記念撮影

参加者全員での記念撮影

 「第25回リベイロン・ピーレス全伯虚子忌俳句大会」(アドレル・テイシェイラ・キコ大会委員長=同市長)が21日、同市の日伯文化協会で開催され、俳句愛好家が35人集まった。5人の特別選者が特選、次点を選考し、全員で優秀作品の投票を行なった。「晩節に名残りの一と日虚子祀る」などを投句した小斉棹子さんが3年ぶりに総合一位に選ばれた。2位以下は順に永田美知子、広瀬芳山、西森ゆりえ、小村広江(敬称略)となった。

 サンパウロ市からのバスは9時半に同市役所に到着。出発時に降っていた雨は止み、バスを降りた参加者らは顔をほころばせた。敷地内の日本庭園には「三日月の匂やかにして情あり」と刻まれた高浜虚子の句碑があり、例年通り句碑の前で献花式が行なわれ、西川明美さん(71、二世)と小斉棹子さん(80、北海道)が献花した。

 会場には虚子の遺影や虚子の言葉である「花鳥諷詠」の書が飾られ、参加者らは線香をあげて遺徳を偲んだ。

 開催式で先亡者への黙祷が捧げられ、同地文協会長の村木アントニオさんは「25周年の節目を皆様と迎えることができて嬉しい」と祝した。続いて大会実行委員長の澤田エベッテさん、小斉棹子さんも挨拶した。

 今年の兼題は「虚子忌」「秋風」「渡り鳥」「鰯」「秋の暮」。特別選者は小斉棹子、永田美知子、吉田しのぶ、広瀬芳山、村上士郎ら5氏。

 午前中は、無記名の180句を参加者全員が回し読み、気に入った五句を選ぶ「互選」が行なわれた。昼休みには、弁当と同婦人部手作りの惣菜や漬物が振舞われたほか、午後の互選でも和菓子や手作りのケーキなどが配られ、参加者から好評を博した。

 選句発表で披講士が選句を読み上げると、投句者は自らの俳号を名乗り上げた。順位は互選と特別選者選の合計点でつけられる。

 1位に輝いた小斉さんは「今日考えて投句した。優勝できて嬉しい」と笑顔。本大会については「参加者が減っているけれど、二世や三世の方の協力があって続けられている。皆本当に俳句が好きで来てくれていて、温かさが身にしみる」と感慨深げに語った。

 特選、次点受賞句は次の通り。斉棹子選=特選「秋天下出発点に線を引く」(中川敬子)、次点「三ヶ月の碑の句諳んじ虚子祀る」(吉田しのぶ)、永田美知子選=特選「晩節に名残りの一と日虚子祀る」(小斉棹子)、次点「難民の行方は何処渡り鳥」(原はる江)、吉田しのぶ選=特選「稜線を茜に染めし秋の暮」(平間浩二)、次点「天嶮の絶壁に立ち秋の風」(平間浩二)、広瀬芳山選=特選「鳥渡る整地済みたる大耕地」(永田美知子)、次点「虚子祀る淡く親しき句の縁」(小斉棹子)、村上士郎選=特選「日常が絵となる魔法秋の暮」(広瀬芳山)、次点「秋風や棚のグラスが光りだす」(馬場園かね)