大耳小耳

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 『ブラジル老荘の友』519号を読んでいて、おもわず吹き出した。ブラジル経済通で知られる若松如空さんのコラム「三十年後、ブラジルは大国になる」の最後の部分だ。将来良くなる可能性をこれだけ秘めているという数字が延々と書かれていて、実に説得力がある。でも、その最後に《私は家族が集まった時「苗字のアルファベットは絶対に変えてはいけない」と言ってきた。若松はWで始まる。ブラジルでは普通Wで始まる名前はないので、Vに変えることがある。例えばVATANABEがある。だが我が家はVに変えられない。馬鹿松になってしまう。将来、(一族から)立派な人間が出て、この名前を付けられたのでは夢が飛んでしまう》とのこと。文章が真面目に「未来の大国」を論じているだけに、最後のオチが冴えわたる。さすがは若松さん、脱帽の一言。